第12話

その後、父が男に、私達を紹介した。

「君が最初に会ったのが、長女の秋姫だ。16歳で、今度から高校2年生になる。私にとっては、昔から研究を手伝わせている大切な助手でもある」

「その若さで教授の助手をなさっているんですか!見た目どおり、聡明なお嬢さんなんですね」

男は大袈裟に驚いたそぶりをした。

(…おべっかを言う要領の良さをお持ちですこと)

未だに私はこの男に対する嫌悪感が消えないでいる。

「それから、君の隣にいるのが、次女の春姫。今日で10歳になったばかりだ。…小学生、と言いたいところだが…白血病でな。ずっと自宅療養させておる」

春姫はうつむいた。その小さな頭に、男は大きな手を乗せ、優しく撫でていた。

「そうか…可哀想に、寂しいだろうね」

「…ううん、お姉ちゃんがいるもん。お勉強も教えてくれるし」

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