Contamination

第10話

私は、呆れて次々と重ねられていく食器を見ていた。

(…さっきの遠慮はなんだったのよ…)

男は、久々に食事にありついた貧乏学生、という形容が最も適切だった。

私は不愉快だった。春姫の為のご馳走が、こんな得体の知れない男に食い荒らされていく。しかも、父はますます機嫌良く、お代りを勧め続けている。

「…さぁ、春姫お嬢さま、こちらですよ」

食堂の外からおシゲさんの声が近付いてくる。そして、まだ眠そうな春姫が眼をこすりながら、おシゲさんに手を引かれて食堂に入ってきた。

「…あ…」

春姫は食堂の中央に見知らぬ男が座っているのを見て、素早くおシゲさんのエプロンの陰に隠れた。

男は箸を置き、春姫の方を見た。春姫も怯えた顔で男をじっと見つめた。

「…やぁ、こんにちは」

男は春姫に、優しい微笑を投げかけた。

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