第9話
突然の珍事に、思わず父は笑った。気難しい父が初対面の相手にこんなに打ち解けた表情をするのを初めて見た。
「それならちょうど良かった。おい秋姫、食堂に料理が並べてあるだろう。あれをご馳走してやりなさい」
私は思わず反論した。
「だって、あれは春姫の誕生日の…!」
「どうせ食わんのだろう。構わんじゃないか。なぁ、おシゲさん」
「そうですねぇ…この方に召し上がって頂けると助かりますが…」
おシゲさんは私の顔色を見ながら控えめに答えた。
「あ、いえっ、僕はそんな、お食事を頂くわけには」
男があわてて遠慮する。しかし、父は押しつけがましいほどの陽気さで男を誘った。
「なぁに、いいじゃないか。食事がてら私の家族を紹介しよう。おシゲさん、春姫を起こしてきてくれ!」
私の困惑をよそに、父はすっかり有頂天だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます