第47話
優勝パレードの後、マツダスタジアムで行われた「優勝報告会」。
残念ながら私は入場券の抽選に外れてしまったので球場内には入れませんでしたが、音声だけでも聴きたいと球場入口付近をうろうろしていました(;^ω^)
もちろんテレビやインターネット上でこの様子は放映されるんだから、それを見ればいいじゃないという家族の意見もありましたが、まぁ、そこはそれ、やっぱり現場の空気を味わいたくてさ(;^ω^)
緒方監督や小窪選手会長のスピーチ、ファンと選手達が一緒に「それ行けカープ」を合唱&風船飛ばし、選手が優勝ペナントを持ってグラウンドを一周する、などが行われ。
優勝の喜びを分かち合った後は、黒田投手の引退セレモニー。
黒田自身がこれまでの20年の現役生活を振り返り、「世界一のカープファンの前でユニフォームを脱ぐことができます。本当に最高の引き際だと思います」と、ファンへの感謝の言葉で締めくくりました。
新井さんが「胴上げしよう!」と他の選手達に呼びかけ、黒田自身は「いや、いいって、いいって」と嫌がる素振りを見せたものの、やっぱり新井さんに捕まって、背番号と同じ数の「15回」の胴上げ。
イヤだイヤだなんて口では言いながら、胴上げされる黒田の顔は輝くような笑顔(≧▽≦)
その後は選手ひとりひとりと握手やハグを交わし、全員がベンチに戻っていった後、黒田はたったひとりでマウンドの前に進みました。
しかしマウンドに上ることはなく、その手前にひざまずき、まるで祈りを捧げるように、長い時間そうしていました。
その目には、抑えきれない涙。
「最後の最後まで野球の神様はいると思って野球をやってきた」と黒田は語ります。
黒田は素晴らしい野球選手でしたが、これまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。
高校時代は補欠の選手。大学時代も特に注目を集める選手ではなく、ただ、その負けん気の強さがカープのスカウトの目に留まり、カープにドラフト2位で入団。
その後は長いカープの暗黒時代を支え、地元の新聞に「もはやエースではない」と辛辣な記事を書かれても、その記事を切り抜いて自分のロッカーに貼り付け、悔しさをバネに一歩ずつ着実に成長し続けてきました。
慣れないメジャーでの過酷な登板にも耐え、懸命にマウンドに立つヒロキ・クロダの姿は、やがてアメリカ人にも信頼され、高額のオファーをもって迎え入れられるほどになります。
それでも最後に選んだのは、日本の、小さな地方都市・広島のこのマウンドに戻ってくることでした。
その黒田の決断に、野球の神様からは「カープの優勝」という最高のプレゼントが贈られたのでした。
そして、黒田の背番号「15」を、カープは永久欠番とすることを決めました。
永久欠番というのは、これ以降、その背番号をそのチームでは誰もつけない、と決めることです。
カープではこれまでに「3」と「8」が永久欠番と決まっていました。
3は「鉄人」の愛称で親しまれた衣笠祥雄さん、8は「ミスター赤ヘル」の愛称を持ち、過去にカープの監督を2度務めた山本浩二さんが、それぞれ背負っていた背番号です。
カープの長い歴史の中で「スター選手」は他にもたくさんいます。でも、その中でも特別の敬意をもって称えられる選手に対して贈られる最高の栄誉、それが永久欠番です。
その偉大な「3」と「8」に続き、黒田の「15」が3人目の永久欠番となったわけなのです。
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