第41話

そしてクライマックスシリーズが始まりました。


 2013年、2014年はペナントレース3位からの下剋上を目指して「挑む側」だったのですが、今年は王者として「待ち受ける側」となったわけです。

 本年度の2位・ジャイアンツと3位・ベイスターズのうち、どちらが最終的にマツダスタジアムにやってくるのかと、カープファンは興味津々でファーストステージを見守っていました。

 短期決戦に強いジャイアンツが優勢かと思われましたが、勢いに乗ったベイスターズを止めることはできず、ファイナルステージでカープに挑むのはベイスターズということになりました。


 この「カープVSベイスターズ」という組み合わせ。


 古くからの野球ファンとしては、しみじみと「時代が変わったなぁ…」と思うのですよ。


 カープの暗黒時代、“万年5位”と揶揄されていた頃、じゃあ最下位の6位はどのチームだったのかというと、ベイスターズ(横浜大洋ホエールズ)だったわけですよ。

 ともに他球団ファンから「セ・リーグのお荷物」と呼ばれていた、観客席ガラガラの寂しいスタジアムでともに汗と悔し涙を流していた弱っちいカープとベイスターズが――この真新しいマツダスタジアムで、眩しいカクテルライトに照らされて、満員の観客の割れんばかりの声援を浴びて、首位攻防戦を行っている――それだけで、その事実だけで、新しい時代が来たんだ、と胸にグッと迫るものを感じるのです。


 ファイナルシリーズのルールは、先に4勝したほうが勝利となり、ペナントレースの優勝チーム(カープ)にはアドバンテージとして最初から1勝が与えられることになります。つまりベイスターズは4つ勝たないといけないけど、カープは3つ勝てばOKということですね。


 10月12日の初戦は5-0でカープが勝利。

 10月13日の第2戦も3-0でカープが勝利。

 10月14日の第3戦は0-3でベイスターズが勝利。


 ここまで全てどちらかが完封勝利する、引き締まった試合展開でした。


 そして10月15日の第4戦。

 1回裏にカープが一挙6点を挙げて「こりゃ今日は楽勝だな」とノンキに眺めていたら、ベイスターズも意地を見せてボコボコ打ち返し、非常にハラハラする乱打戦となったのでした。

 結果的には、守護神ザキがなんとか最後のマウンドを守り切って、8-7という接戦のスコアでカープが逃げ切って勝利!!!


 これで、カープがクライマックスシリーズをも制して、ついに日本一の野球チームを決める「日本シリーズ」へ進出することとなったのでした!


 このクライマックスシリーズの思い出は、何といっても田中広輔に尽きます。

 もうね、マジ神ってた、コースケ。

 何しろ「打率8割3分3厘」って、すごい驚異的な数字を残したんだもんΣ(・ω・ノ)ノ!


 あ、えっと、「打率」については説明してなかったね。

 ざっくり言えば「そのバッターがヒットを打つ確率」っていうことなんですけどね。

 例えば、そのバッターが10回打席に入って、そのうち1本ヒットを打てば打率は0.100。つまり1割ね。

 10回の打席で5本ヒットを打てば5割。すなわち2打席に1回はヒットを打つぞということです。これは相手ピッチャーからするとかなり手ごわいよね。

 で、一般的に優秀なバッターとされる基準は「3割」。まぁだいたい3打席に1回ぐらいヒットを打てば上等というわけです。


 で、ここまで説明すればお分かりでしょうが、田中広輔のこの4試合の通算打率0.833っていうのはマジで驚異的、神ってるとしか表現しようがなかったのですね。

 短期決戦ではこういうラッキーボーイがいるチームが勝つとはよく言われますが、いやー、それにしてもビックリした。ホントにΣ(・ω・ノ)ノ!

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