第31話
この「コリジョン・サヨナラ」という非常に珍しい勝利を掴んだ瞬間に、勝利の女神はカープを選んだのかもしれません――
――と思ってしまうぐらい、その後は何もかもがトントン拍子に進んでいき、なんと怒涛の11連勝を成し遂げてしまうわけです。しかも、あんなに恐れていた「交流戦」で、ですよ。
その途中で、我々は勝利の神がグラウンドに降臨する瞬間を目撃してしまったのです!
そう、それが2016年の流行語大賞となった「神ってる」の瞬間であったわけです。
では、今年の流行語大賞がいったいどういう状況で生まれたのかを簡単に解説してみますね。
***
☆PICK UP!☆
6月17日(マツダスタジアム)
広島東洋カープVSオリックス・バファローズ
試合結果:6-4でカープ勝ち(^^)v
……からの、
6月18日(マツダスタジアム)
広島東洋カープVSオリックス・バファローズ
試合結果:4-3でカープ連勝(≧▽≦)
「神ってる」という言葉は、この2試合における鈴木誠也選手の神がかり的な活躍について、緒方監督が18日試合後のマスコミ取材に対して「今どきの言葉で言うなら“神ってる”だな」と発言したことに由来します。
まずは17日の試合。
9回裏の時点で試合は2対4で負けていましたが、ルナ選手のタイムリー2ベースヒットで同点に追いつきます。
そして試合は延長戦へ入り、お互いに譲らぬ緊迫したムードのまま、12回まで引っ張ります。
12回裏、磯村捕手のヒットでチャンスの突破口を開くと、バッターボックスに立ったのは高卒4年目の鈴木誠也。
この猛烈なプレッシャーの中でも、しかし、誠也は落ち着いていました。
じっくりと狙い目の球が来るのを待ち続け、フルカウントからの鋭い一撃は、鮮やかな放物線を描いてレフトスタンドのカープファンの頭上に飛び込んでいったのです!!!
このホームランでカープには2点が入り、サヨナラ勝ち。誠也にとってはプロ野球人生初めてのサヨナラホームランとなりました(*´▽`*)
……からの、18日の試合。
これまた9回裏、カープは1対3で負けていました。
しかし、キク・マル・ルナが懸命に繋ぎ、ランナー1・3塁という絶好のチャンスにバッターボックスに立ったのは、またまた誠也。
昨日の逆転勝ちをもぎ取った若きヒーローの登場に、ファンの期待は否応にも高まります。
でも、…そんな、まさかね。
ここで誠也がまた打っちゃったら、そんな、野球マンガじゃあるまいし、ねぇ…
…なんて思いながら、でもギュッと握りしめた拳には、じっとりと汗がにじみ。
でも、でも、でも、本当にそんなマンガみたいなことが起きちゃったんです!
誠也の打球は、まるで昨日のシーンのリプレイ映像のように、同じレフトスタンドにズドンと突き刺さって、まさかの、まさかの「逆転・3ラン・サヨナラホームラン」。
なお、「2試合連続のサヨナラホームラン」は、カープでは32年前に一度あったのみで、誠也のこの記録は球団史上2人目として刻まれることとなります。
ファンもビックリしましたが、それと同じぐらい、緒方監督もビックリしていたようです。
だって、あのクールで寡黙で、普段はマスコミに対しても不愛想な緒方監督が「今どきの言葉で言うなら“神ってる”だな!」なーんて、浮かれたコメントをするなんて、ファンはそっちにも驚いてたんですよ!どうした、キャラが違うぞメグちゃん!Σ(・ω・ノ)ノ!
さらに誠也はこの翌日の19日の試合でも、8回裏に勝利を決めるホームランをレフトスタンドにブチ込んでくれました。
この強烈なインパクトにより「鈴木誠也」の名は一気に全国区の人気を集め、マツダスタジアムのグッズ売り場の「51」のユニフォームの棚はあっという間に空っぽになってしまったそうですよ。
ちなみに、誠也自身は「神ってる」と呼ばれるのはあまり好きではないらしいです。「実力ではない」と言われているように感じるのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます