第16話

「よっしゃー!ではグラビア完成を祝して!呑みに行くぞー!」

阿鬼ちゃんの声に、皆は歓声をあげた。

外はすっかり暗くなっていた。阿鬼ちゃんとカメラマンは気が合ったようで、先頭を意気揚揚と腕を組んで歩いている。その後ろで、みっちゃんが編集部のスタッフ達に担がれている。繭ちゃんはまだ夢見心地で、ひ~らひ~らと踊るように歩いている。

「繭ちゃん、もう酔ってんの?」

「らいりょ~ぶれすぅ♪あははは!」

…ああ、繭ちゃんが壊れた…。

私の後ろでは、相変わらず鬱摘君がれんげちゃんを相手にぶつぶつ言っている。

「カナちゃんがヒゲを切られた痛み…絶対、犯人にも思い知らせてくれるわ…」

「ヒゲやったら~別に痛ないんちゃう~?」

「肉体の痛みではないッ!心の痛みだッ!」

そんなふうに騒ぎながら夜の街を歩いていた。

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