第6話

「あら、川崎君からだわ」

郵便物を仕分けながら、私は1枚の葉書を取り上げた。葉書の裏には、日焼けした青年が両肩に薪を担ぎつつ満面の笑顔を浮かべている写真が印刷されていた。

「…ずいぶんたくましくなったわねぇ…」

私はしみじみと呟いた。

川崎君は先日まで当編集部で働いていた。あの頃は顔色が蒼白く、げっそりやつれていたものだ…連続60時間不眠不休で編集作業やってたりしたから仕方ないけど。それである日、『燃え尽きました』という書き置きを残し、山奥に去ってしまったのだった。

まぁ、川崎君に限らず、ウチの編集部はスタッフの入れ替わりが激しい。先週も鈴木君が辞めたし。その代わりに、日野君と井関君が新たに入社したけど。

「…また車種が増えたわねぇ…」

「え?本田さん、何か言いました?」

「んー、判んない人は気にしないでね♪」

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