第4話

…あ、申し遅れました。

私、本田久三子(くみこ)27歳独身。キューゾーって呼ばないでね。当編集部では庶務担当…って、ウチは弱小編集部だから、実際には原稿書きや割付、校正とかもやるけど。

「あのー、本田さん?さっきから誰に向かって話してるんですか?」

真面目な顔で尋ねてきたのは、チーフの藤島道彦君。通称、みっちゃん。

「んー、本編を読んでいない読者の皆様のために説明しとこうかなって♪」

「…は?」

「みっちゃんは気にしなくていーの。ところで、阿鬼(あき)ちゃんは?」

「編集長ならモデルを迎えに行きましたよ」

「あ、今日、グラビアの撮影だっけ!あちゃー、上の部屋を掃除しとくの忘れてた!…ええっと…繭(まゆ)ちゃん、いる?」

私がアルバイトの女の子の名前を口にした瞬間、みっちゃんの頬は真っ赤になった。

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