第8話 ルービックキューブ
断崖へと続く道を歩き始めた赤坂と影沼。背後には、五十嵐の気配。そして、トンネルを抜けてくるであろう大野。二人は、挟み撃ちという最悪の事態を避けるため、急ぎ足で進んでいた。
「何か、感じる…」
影沼が、周囲を警戒しながら呟いた。
「…」
赤坂も、空気の異変を感じていた。それは、まるで何者かに見られているような、不気味な感覚だった。
その時、二人は、道の脇に落ちている奇妙な物体に気づいた。それは、カラフルな六面が組み合わさった、ルービックキューブだった。
「ルービックキューブ…?」
影沼が、首を傾げた。
「誰かが落としたのか…?いや、違う」
赤坂は、ルービックキューブを手に取り、注意深く観察した。
「これは、ただのルービックキューブじゃない。何かの暗号だ」
ルービックキューブの各面には、微細な傷や記号が刻まれていた。赤坂は、それらの記号を組み合わせ、解読を試みた。
「…分かった。これは、この先に仕掛けられた罠の場所を示している」
赤坂は、ルービックキューブの示す場所を地図と照らし合わせた。
「罠は、この先の洞窟の中だ。おそらく、大野が仕掛けたものだろう」
二人は、罠を回避するため、迂回路を探すことにした。しかし、その時、背後から足音が近づいてきた。
「来たか…」
赤坂は、影沼に合図を送り、物陰に身を隠した。
現れたのは、大野だった。彼は、デスノートを手に持ち、周囲を警戒しながら歩いていた。
「…いないのか?まさか、逃げられたのか?」
大野は、苛立ちを隠せない様子で呟いた。
その時、大野の背後から、五十嵐が現れた。彼は、冷たい笑みを浮かべ、大野に近づいた。
「大野、デスノートを渡してもらおうか」
五十嵐は、静かに言った。
「…貴様!いつからそこに!」
大野は、驚きと警戒の表情を浮かべた。
「お前がデスノートの力に溺れている間に、な」
五十嵐は、嘲笑を浮かべた。
二人は、デスノートを巡って、激しい攻防を繰り広げた。その隙に、赤坂と影沼は、迂回路を通り、洞窟へと向かった。
洞窟の中は、暗く、湿気が立ち込めていた。二人は、懐中電灯を頼りに、慎重に奥へと進んだ。
そして、二人は、洞窟の奥に、巨大な落とし穴を発見した。落とし穴の底には、鋭い刃物が無数に突き出していた。
「やはり、罠だ…」
赤坂は、呟いた。
「でも、どうやって回避するの?」
影沼が、不安そうに尋ねた。
「…ルービックキューブが、もう一つのヒントを示している」
赤坂は、ルービックキューブを手に取り、再び解読を試みた。
「…分かった。この落とし穴は、特定の場所に特定の重さをかけると、作動する仕組みになっている」
赤坂は、洞窟の壁に刻まれた記号と、ルービックキューブの記号を照らし合わせた。
「…影沼、あれを見て」
赤坂は、洞窟の奥に、いくつかの岩が積み上げられているのを見つけた。
「あれらの岩を、ルービックキューブの指示通りに配置すれば、罠を解除できるはずだ」
二人は、慎重に岩を移動させ、ルービックキューブの指示通りに配置した。
すると、落とし穴の底がゆっくりと動き、穴を塞ぐように、岩がせり上がってきた。
「成功だ…!」
影沼が、安堵の息を漏らした。
「だが、まだ終わったわけじゃない。大野と五十嵐が、すぐそこまで来ている」
赤坂は、警戒を解かずに、言った。
二人は、デスノートを巡る、最後の戦いに備えた。
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