第3話なぜ中天に来たかを知る


アニカには予定では昼過ぎに着くはずだったが、思いのほか時間が、掛かってしまい夕方になってしまった。執事の話ではアニカの麓に仙人の住んでいる家が有るとの事だったので探したら、それらしい家が見つかりドアをノックした。中から“ドアにカギは掛かっていない、入ってきなさい。”と聞こえてきたのでドアを開けた。

そして中に入ると長くひげを生やした老人が椅子に座っていてこちらを見ていた。

優二は「あなたが仙人ですか?」と、声を掛けるとその老人は

「わっははは・・・・。わしか確かにわしをみんなが仙人と呼んでいる事は知っているがそんな者ではなくただの年寄りだ。」

「ただの年寄りには見えませんが・・・。」

「そうか、そんな事は、今は、いい優二そこに座りなさい。」と言われたが優二は立ったまま

「・・・どうして僕の名前を知っているのですか?」

「何故なら優二おぬしをこの世界に導いたのはニカラだ。」優二は驚き

「どういうことですか!?」

「詳しい事はそこのニカラが説明する。」と言ったので周りを見回したら女性がたっていた。

その女性は「初めましてニカラと言います。今までの事とこれからの事についてお話します。」と言うと話し出した。

「あなたの世界から人を追跡して迷い込んで、ここに来たのですね。」

「確かにそうですけど。」

「それはあなたが見た幻覚です。」

「幻覚・・・?そんなことは無い確かに“あかね”を見た。」

「それは私が祈りイメージしました。私のイメージを受けっとってこの世界を救ってほしいと。そしてあの廃屋にこの世界へ通じる入り口を作ったのです。そのイメージをあなたは受け取りこの世界に導かれました。」

「でも何故俺が小さい時好きだったあかねが分かったんだ?」

「それは、あなたの中にある気になる人物が現れたにすぎません。私がその人物をあなたに見せたわけだは無いのです。あなたが自分で作った幻影を追ってここに来ました。」

「俺が勝手に幻影を追ってここに来たというのか?」

「はいそうです。そしてあなたがこの世界に来たおかげで一つの問題の竜神は解決しました。」

「確かに俺は戦ったが、最後はマヤが鎮めたんだ。結局はマヤのおかげだ。」

「それは違います・マヤ姫が竜神を鎮める事ができたのは。あなたがこの世界に来たからです。あなたがこの世界に来なければ予言者も竜神が暴れている原因が分からずマヤ姫に覚醒の実を与える事ができず、竜神を鎮めることは出来なかったのです。」

「そんなものか・・・」と言い

「俺がこの世界に来たかはあなたの祈りによってここに導かれたのは分かった、しかしなぜ俺が選ばれたんだ?」

「それが大事です。これからあなたを呼んだ本当の理由を話します。」

「本当の理由?」

「そうです。今この世界は地天、中天、上天に分かれています。私たちがいる世界は中天です。そしてあなたがいた世界は地天です。もともと中天と上天は一つでした。そしてある時魔天王が中天と上天に分けてしまいました。」

「摩天王?」

「世界を支配しようと考えている魔王です。そして二つに分かれた上天を支配してそこから魔術を使い中天を支配しようとしています。」

「それが俺とどういう関係があるんだ。」

「あなたは中天と上天を統一するための重要な人物なのです。」

「どういう事だ・・・」

「それはその理由は、中天と上天に分かれた時に一つの魂が二つに分かれました。一つはマヤ姫の双子の妹カエラ姫、もう一つは地天に生まれたあなたです。」

「俺の魂・・・と、もう一つの魂・・」

「混乱する名は当然ですが、話を最期まで聞いてください。」

優二「・・・・・」

「中天と上天はまだ不安定な状態です。中天と上天が再び統合されると魔天王は消滅してしまいます。そして二つの天が固定するのはカエラ姫が成人する時だと知ったのです。そしてカエラと別れたもう一つの魂が繋がる時に中天と上天が統合されることが分かったのです。そのため魔天王はカエラを誘拐して幽閉しました。

カエラを誘拐された王様は全力を尽くして探しましたが、見つけることは出来ませんでした。どうしようなくなった時に私の父に捜索を頼みました。父は助手のモーラとともに手掛かりを探しました。しかし何も手掛かりが見つからないまま時間だけが過ぎてゆきました。

そんなある日村人たちが突然消えるとの噂を聞き、その村に向かい調べていると上天と繋がっている事を見つけました。父は上天に行って色々調べると魔天王がカエラ姫を幽閉している事を突き止めもう一つの魂つまりあなたとの出会いを阻止している事が分かりました。そしてあなたを呼び寄せる手段も見つけたのです。

そこまで突き止めると中天に戻ろうとした時、魔天王に捕まり牢屋に閉じ込められてしまいました。しかしそれまでの事を記したノートをモーラが持っていて私たちに届けてくれました。

そして私は中天と上天を統合する為もう一つの魂を呼ぶ儀式を行いあなたがここに来たのです。その時にあなたの事も知る事ができました。本当はこのまま上天に行って欲しいのですが、中天と上天が統合されるとあなたが地天に戻れなくなることが分かりました。

あなたは地天に新しい関係を作っていす。そしてこのままその関係を断ち切るのは忍びないと考えます。これから地天に戻る方法を教えますので、地天の時間での三日以内にカエラ姫を救う決心が付いたら戻ってきてください。これがわたしのお願いです。」

「もしここに俺が戻って来なかったらどうなる?」

「それはこの中天は魔天王に支配されることになります。しかし、あなたに強要することは出来ません。判断はあなたに任せます。」

優二「・・・・・・・」

 「今から元のお世界に帰る方法を教えます。まずあなたがここに来た時の森に行ってください。そこに帰る扉があるのでそこから戻れます。」

「その森は何度となく探したがそんなものは無かったぞ。」

「はい、それは私がそのドアを隠していたからです。今それを止めたのですぐに見つかると思います。」

「しつこいようだが俺が戻って来なかったら君たちは生きていけるのか?」

 ニカラは何も言わずただ優二を見ていた。優二は

「分かった三日ですね・・・・」

「そうです、それでは気を付けて行ってください。」優二は話を聞くと森に戻って行った。

 森に着くと元の世界へのドアを探す前に“あかね”らしき人物の家をもう一度探してみた。そしてその場所に行くとその家立っていた。優二は“そんな事があるのか・・・“と不思議に思ったがその家を尋ねてみた。しかしそこには誰も居なかった。

 そして優二はある推測をして仮定を立てた。それは中天と上天が繋がっているがそれが安定してない為、そこを行き来しているのではないか。そして女性はただの他人の空似ではなかったのか、これは仮定にしかすぎないがそうすると説明がつく気がした。

優二はその仮定を確かめたかったが、そんな時間は無いので元に戻るドアを探し見つけたので、そのドアに手を掛けて開けてくぐると廃屋の屋上のドアの前に居た。



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