第2話ダーゴに会いに行く
優二はその話を聞いて、自分の部屋で考えていた。しかし北の山のアニカに行くには2日の時間が掛かるが、今はそこに行くしかないだろう、と考えるようになった。アニカに行くには森を抜けなければならないので、もう一度森の奥の家を探してから行こうと思った。
次の日朝早くしお城を出て森の奥を探したがやはり家は見つからなかった。そのまま森を抜けアニカに向かった。アニカは一山超えてその先にあるキイラファズ村の向こうにある山だった。そこで陽が落ちる前にキイラファズ村に着くように歩いていた。
今回のたびは仲間に居ない一人旅だったので少しの寂しさを感じていたがそれも時間が経つにつれて薄れて行った。
お昼ごろになると山の8合目まで登ってきた。そこで城を出る時に持ってきた弁当を開きお腹を満たした。弁当を食べ終わり休憩していると陽が昇り切っていた。これでは陽のあるうちにキイラファズに着けないと焦り急いで立ち上がって歩き出した。
山を越えて村に向かっている時陽が傾きかけた。まだ村へは1時間くらいかかるところに居た。そこへ後ろから荷馬車が通りかけた。その荷馬車に乗っている村人が話しかけてきた。
「あなたは優二さんでは無いですか?どこに行かれるのですか?」
「キイラファズ村に向かっているところです。」と答えた。
「そうですか、自分もキイラファズに向かっています。よかったら乗りますか?」
「それはありがたいです。乗らせてもらいます。」と言うと荷馬車に乗りこんだ。
「あなたが竜神を鎮めてくれてこの国は平和になりました。ほんとに感謝しています。」
「いえそんな事は有りません。最後はマヤ姫が救ってくれたのです。」
「謙遜することは無いですよ。とにかく今はあなたの話題で盛り上がっています。」
優二は話を聞いていてなんだかくすぐったような感じがして少し落ち着かない感じがした。
村人は話題を変えて「なぜキイラファズに向かっているのですか?」
優二はこれまでの事をかいつまんで説明すると、
「ゴーダの所に行きなさるか・・・」と言い掛けたがそのまま黙った。
優二は何かあるのかなと直感した。
村人はそのまま黙ったままキイラファズの村に着いた。そして
「泊まる場所は決まっているのですか?」と訊いてきたので
「決まってない。」と答えた。
「それならば村の中心に宿屋があります。一階が酒場でそのうえが宿屋になっているからそこに泊りなっせ。」と、言うと優二を下ろして去って行った。
優二は其の宿屋に向かった。宿屋に着いてドアを開けたらそこは酔っ払いで騒がしかった。優二は静かにそこを通り抜けようとしたら一人の酔っぱらいが絡んできた。
「そこの兄ちゃん、ここはお前さんが来るところではないぞ。ミルクでも飲んでさっさとお家に帰んな!」と絡んできた。そして
「お前の名前はなんていうんだ。」
「優二です。」
「優二・・、あの優二か・・・」
「どの優二かは分かりませんが僕は、優二です。」
「気にくわないな。何か突然やって来て竜神を倒したと言って英雄気どりしている奴だろ。」
「違います。僕は英雄気どりなんかしていません。」
「いやそんな事はねえ。どれほど強いか俺と勝負しろ。」
「勝負って・・そんなことは出来きません。」
「逃げるのか。」と言うとふらつきながら殴り掛かった。
優二はそれをよけると、また殴り掛かろうとした時に一緒に飲んでいた人物が
「やめろ。お前は飲みすぎだ。」と、その男を押さえつけた。そして優二に向かって
「悪いな、酔っぱらっているだけだ。悪気はない、さっさと上に上がってくれ。」
優二はそれを受けて二階に上がって行った。
酔っ払いは「逃げるのか!卑怯者!」と叫んでいたが、追ってはこなかった。
優二は二階の部屋に入るとベッドに横たわりそのまま眠ってしまった。次の日アニカに向かおうとした時、昨日の酔っぱらいと鉢合わせになった。優二は又何か因縁をつけてくるかと思い身構え横を通り過ぎた。
その男はすれ違いざまに「昨日はすまなかったな・・・・」と呟くような声で声を掛けただけでそのまま通りすぎた。優二は振り返ったがその男は振り返らずに歩いて行った。
優二は“酔いがさめると、謝る事もするのか・・”と思い、酒は人を変えてしまう事も有るからな・・・そんな事を思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます