第二十章 鉄鎖の影、巨悪の胎動
鉄鎖との戦いを終え、街の平和は守られたかに見えた。しかし、桐人の中で、拭いきれない違和感が残っていた。鉄鎖の動きはあまりにも統率が取れておらず、まるで何かに操られているようだった。彼らは、より大きな組織の末端に過ぎないのではないか。桐人の直感はそう告げていた。
その直感は、的中することになる。数日後、神崎会長から再び呼び出しを受けた桐人と研斗は、深刻な表情の会長から、驚くべき事実を告げられる。
「鉄鎖の背後には、『黒曜会(こくようかい)』と呼ばれる巨大な犯罪組織が暗躍していることが判明した。奴らは、政界、財界にも深く食い込んでいて、その影響力は計り知れない。鉄鎖はその末端組織の一つに過ぎなかったんだ。」
神崎会長の言葉に、桐人と研斗は息を呑んだ。鉄鎖程度を容易く制圧できたとはいえ、相手が国家をも揺るがすほどの力を持つ組織となると、話は別だ。
「黒曜会は、麻薬取引、武器密売、汚職など、あらゆる犯罪行為を裏で操っている。奴らの目的は、この国を裏から支配することだ。このままでは、この国は崩壊してしまうかもしれん。」
神崎会長は、強い危機感を滲ませた。
「会長、俺たちにできることがあれば、何でも言ってくれ。」
桐人は、力強く答えた。研斗も、固い決意を胸に頷いた。
黒曜会の情報を集めるため、桐人と研斗は、これまで以上に情報網を駆使した。しかし、黒曜会はあまりにも巨大で、その全容を掴むのは容易ではなかった。彼らは、あらゆる場所に根を張り巡らせ、その実態はベールに包まれていた。
そんな中、研斗が重要な情報を掴んできた。黒曜会が、近々、大規模な会合を開くというのだ。その場所は、郊外にある巨大な廃墟ビル。この会合で、黒曜会の幹部たちが集結し、今後の計画について話し合うという。
桐人と研斗は、この情報を元に、単身、廃墟ビルに潜入することを決意した。
夜になり、周囲は静まり返っていた。廃墟ビルは、不気味な雰囲気を漂わせ、まるで巨大な怪物が口を開けているようだった。桐人と研斗は、物音を立てないよう、慎重にビルの中に侵入した。
ビルの中は、暗く、湿っぽい空気が充満していた。二人は、気配を消しながら、奥へと進んでいく。そして、最上階の大広間にたどり着いた。
そこには、数十人の男たちが集まっていた。彼らは、明らかに只者ではない雰囲気を纏っており、鋭い眼光を周囲に放っていた。その中心には、威圧的な雰囲気を放つ男が座っていた。彼こそが、黒曜会のトップ、黒崎(くろさき)だった。
桐人と研斗は、物陰に身を隠し、様子を伺った。黒崎は、重々しい口調で話し始めた。
「諸君、我々の計画は着実に進行している。この国は、もはや我々の手の内にあると言っても過言ではない。近い将来、この国は我々のものとなるだろう。」
黒崎の言葉に、周囲の幹部たちは不気味な笑みを浮かべた。
桐人と研斗は、黒曜会の恐るべき計画を目の当たりにし、強い怒りを覚えた。彼らは、この悪を絶対に許さない。そう心に誓った。
しかし、その時、背後から複数の気配が迫ってきた。黒曜会の用心棒たちに見つかってしまったのだ。
「見つけたぞ!侵入者だ!」
用心棒たちの叫び声が、広間に響き渡った。桐人と研斗は、観念し、姿を現した。
黒崎は、二人を冷たい目で見下ろした。
「面白い。よくもこんなところまで来たものだ。だが、お前たちの命運もここまでだ。」
黒崎は、不敵な笑みを浮かべた。桐人と研斗は、黒曜会との全面対決を余儀なくされた。
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