第二十一章 黒曜の影、迫りくる脅威

黒曜会との直接対決を強いられた桐人と研斗。圧倒的な敵の数を前に、二人は冷静に状況を分析していた。黒崎を筆頭に、幹部たちは皆、只者ではない雰囲気を纏っている。正面から力押しで突破するのは得策ではない。


「研斗、ここは一旦退く。奴らの情報をもっと集める必要がある。」


桐人は、研斗に静かに告げた。研斗も、桐の判断に異論はなかった。二人は、隙を見てその場を離脱しようとした。


しかし、黒崎は二人の動きを見逃さなかった。


「逃がすと思うか?」


黒崎は、冷たい笑みを浮かべ、手下たちに指示を出した。


「奴らを捕らえろ!」


黒崎の号令一下、用心棒たちが一斉に桐人と研斗に襲いかかってきた。桐人と研斗は、応戦しながらも、徐々に後退していく。


「研斗、別々に逃げるぞ!どこかで落ち合おう!」


桐人は、研斗にそう言い残し、別方向へ走り出した。研斗も、桐人の言葉に従い、別の出口を目指した。


桐人は、用心棒たちをかわしながら、廃墟ビルの中を駆け抜けた。彼は、「気流心体」の技を駆使し、敵の攻撃を最小限の動きでかわし、時には反撃を加えた。しかし、敵の数はあまりにも多く、徐々に追い詰められていく。


一方、研斗もまた、苦戦を強いられていた。彼は、桐から教わった「気流心体」の技を懸命に使い、敵の攻撃を防いでいた。しかし、経験の差からか、徐々に体力を消耗していく。


その時、桐人は、あることに気づいた。用心棒たちの動きが、どこか機械的で、統率が取れていないのだ。まるで、何かに操られているようだ。


(まさか…黒曜会は、人間を操るような力を持っているのか…?)


桐人は、そう考え、背筋が寒くなった。


何とか用心棒たちを振り切り、廃墟ビルから脱出した桐人は、約束の場所に急いだ。そこで待っていたのは、傷だらけの研斗だった。


「桐人…すまん…少し…やられた…」


研斗は、息を切らしながら言った。


「無事だったか…それならいい。それより、気になることがあるんだ。」


桐人は、廃墟ビルで感じた違和感を研斗に伝えた。研斗も、用心棒たちの動きに不自然さを感じていたという。


「やはり…そうか…俺も…そう思った…」


二人は、黒曜会の背後に、想像を絶する力が潜んでいることを確信した。


その後、桐人と研斗は、神崎会長に今回の出来事を報告した。会長は、二人の報告を聞き、深刻な表情を浮かべた。


「やはり…黒曜会は、ただの犯罪組織ではないようだ…奴らは、人の心を操る…あるいは、肉体を操る…そのような特殊な力を持っているという情報もある…」


会長の言葉に、桐人と研斗は言葉を失った。


「桐人、研斗、くれぐれも気をつけてくれー。黒曜会は、これまで戦ってきた相手とは、全く違う…危険な存在だ…」


会長は、二人を心配そうに見つめた。


桐人と研斗は、黒曜会の脅威が、これまで以上に深刻なものであることを認識した。彼らは、黒曜会の野望を阻止するため、更なる力を求め、鍛錬を続けることを誓った。そして、黒曜会の謎を解き明かすため、情報収集を続けることを決意した。


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