死ん呼吸
微かに息をする商店街
ラジオの笑い声だけが
つまらない日常を盛り上げようと無理して笑う
駅から近いこの通りにすら
もうほとんど人影はない
鼻先を春がかすめる
春先のぬるい風が
私を置き去って通り過ぎる
花屋の香りだけが私の背を押す
自分の影を最近見ていない
私にとって日常はその程度
背を押されて歩き出しても
行く宛を見つけられないから
つんのめるように
吃るように
躓くように
上手に歩けないでいる
ただ、花屋の香りはそれでも背中を押す
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