続き

 *


 その後、私はらしくもなく号泣した。


 わんわん泣いた。


 正直中2にもなってこんなに大泣きするとは思っていなかった。私は家族が死んでも泣かないよ、なんて言って無情を気取っていた自分が、とても恥ずかしくなった。


 いや、姉が怖かったというのもあるし、ずっと姉が私の弱いところに気付いていたというのもあるし、悔しいとか妬ましいとか恥ずかしいとか、色々な感情が、涙と一緒に溢れ出ていった。一階からお母さんが来るレベルだった。うるさいと怒られた。反省である。いや嘘、お姉が悪い。なんで普段あんなちゃらんぽらんぐーちょこらんたんなのに、一気に剣幕が強くなるのだろう。ギャップ萌えどころの話ではない。ありすぎて萌えない。


 その後は、少々喧嘩した後の気まずさを帯びていたけれど、一日寝ればいつもの私といつものお姉に戻った。


 小説は――うん。


 結局、最後に1作投稿してから、サイトには行かなくなった。


 ちゃんと、終わらせた。


 別に姉に感化されたというわけじゃない。


 私の意志で、ちゃんと終わらせようって思っただけだ。


 ちなみに、書き始めて書き終えるまで2か月くらいかかってしまった。


 いつもは2日で終わっていたのに――2か月である。


 お蔭で痛感した。


 姉の言った通り、物語を終わらせる、というのはとても難しいことだった。


 最後まで書いて、何度も校正して投稿した。


 今改めて読み直すと、稚拙極まりない、ちぐはぐで展開もめちゃくちゃ、辻褄もあるのかないのか分からない、まあなかなかどうして酷い物語にしか見えない。


 評価こそいくつか来たけれど、なかなかどうして酷いものだった。自分でもそう思うし、読んだ人も、きっとそう思ったのだろう。ランキングなんて届きっこない。


 姉には褒められた後、「もっと書きなよ」「ももちゃんの物語をもっと読みたい」、と言われた。褒め言葉は素直に嬉しかったけれど、遠慮しておいた。


 何となく、向いていないと分かったからだ。


 もう少しだけ、言葉に、文章に、向き合いたい。見直したい。


 ちゃんと読みたい、ちゃんと知りたい。


 それまで、物語とは、しばしの別れだ。


 プライドを失った。


 傷ついた。


 でも――それでも。


 ちゃんと終えられて、良かった。


 今は、そう思うことができる。


 エンドマークを打ち、物語を終えたあの瞬間の気持ちは。


 きっと私は、言葉にできない。




(「春と創作」――了)

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春と創作 小狸 @segen_gen

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