第31話

「ははーん。もしや転勤になったら困ることでもあるということか」


察しのいい空野はもしや女だなと言ってきた。


「そう…だな」


僕は正直にいう事にした。

図書館でしかあったことのない里子ちゃんのことを。


「お前でも恋なんてするんだな。あんなに合コンは拒んでたのに」

「合コンは嫌いなんだよ」


僕は一口サイズになったハンバーガーを口の中に放り込む。


「そんなの告っちゃえばいいだろ。」

「そんな簡単なものじゃないんだよ。それにまだ知り合ったばかりだぞ」


僕はあきれながら答える。


「それでも好きなんだろ?それなら伝えるべきだろ。」


僕は少しだけ付き合えたらと思いながらも彼女を困らせたくないと言った。


「お前らしいな。さて、そろそろ戻るか」


僕たちは時計を見て席を立って会社に戻った。

そして今日の仕事終わりに部長にみんな呼ばれた。嫌な予感がする。もしかしたら空野の言っていたことが本当になるのかもしれない。それが脳裏をよぎった。

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