第32話

「えー。今日いっぱいでこの部署がなくなる。

上の命令でこの計画は無謀だと判断したそうだ。移動は各々この封筒の中に入ってる紙に書いてある。」


僕の心臓が跳ねた。

一人一人に封筒を渡していき僕の手元にも封筒がきた。

どうか転勤になりませんように…。


中を見るとそれは『転勤』の二文字。

ああ…。

場所を見ると県外だった。完璧図書館に行ける距離ではない。部長には光栄なことだと思いなさいと言われた。


僕は絶望の淵に立たされた気分だった。

それからどうやって家に帰ったのか記憶がない。でも引っ越しがあるから移動は二週間後となっている。

あと二回…。里子ちゃんに会えるのは二回だけ。

急に焦りが出始めた。たった二回でこの恋を諦めろというのか。

まだまだいろんな話をしたい。いろんな本を読み合いたい。

こんなのあんまりだ…。

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