第25話

まあ、手を動かしても終わる気配すらしない量の仕事がある。

定時の時間になっても今日は仕事をし続けた。

明日までに終わらせないといけない仕事。

今日中に終わらせない仕事。

まだまだやらなきゃいけないことが山積みだ。


「今日は残業か…」


残業なんて新入社員になったばかりの頃ぶりだ。

僕は二時間くらい仕事をしてから手を一旦止めて背筋を伸ばした。

外は夏なのに真っ暗になっていた。


「そろそろ帰るか…」


誰もいない部署で独り言を呟きながら僕は帰り支度をする。

スマホをみると空野からちょうど二時間前にラインがきていた。

でも今更返す気にもなれず内容に目を通したが返信はしなかった。


家に着くとカーテンも閉めず電気すら付けずスーツのままベットに倒れこんだ。

そしてそのまま死んだように眠りについた。

それから窓から差し込んでくる光が眩しくて目が覚める。もう朝だ。


時計を見るといつも起きる時間だった。

ああ。スーツのまま寝てしまったのか…。

僕はしわしわになったスーツを見てそう思った。

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