問3.問4



 問3.彼女は誰が好きなのか



「A組の羽川はねかわくんがそこ目指すって聞いて……」

「あー……それは……好き、みたいな?」

「……うん」

 僕には見せたことの無い表情で照れる彼女を前に、僕は動揺した。

「………………そう、そう、か、」


 あぁ、応援するなんて言わなければ良かった。ほんの数秒前の自分の発言を後悔した。彼女の前でいい人でいることを半ば強制されたこの瞬間に僕は、君の恋を応援する。そんなかっこいい言葉を吐けずにいた。


「偏差値足りてないし頑張らなきゃだぁ」

「…… 安宮なら、きっと大丈夫だよ」

「そう言ってくれると嬉しいな」

「うん」

 受験は応援出来るのに、恋は応援出来ない。そんな自分に嫌気が刺した。


 これから君と僕は、交わることの無い世界へ飛び立つ。それが今、確定したのだ。



 問4.これから僕はどうするのか



「床澤もね? 親の農家継ぐからって卒業までは余裕ぶっこいちゃダメだからね」

「ちゃんとするよそれくらい」

 正直、彼女がA組の羽川のことを好きなのを知らなかった。学年一の艶男に、やはり惹かれてしまうものなのだろうか。

 小中、そして高校と彼女と一緒に過ごしてきた僕は、自分は彼女にとって周りとは違う、特別枠であると自負していた。いや、自惚れていた。


 これから僕は出会いなんて無いこの古臭い田舎で親の農家を継ぎながら大人になって、君は上京して幸せな恋を追いかける。仮にその恋が実らなかったとしても、きっと慰めてくれる美しい景色がそこには広がっているだろうさ。そんな時に、君は僕のことなんて思い出す訳もない。


「羽川くんと一瞬でもライバルになっちゃうのは悲しいなぁ……でも、まずは合格してスタートラインに立たなきゃ」

「あぁ」


 書店を後にして外に出ると、雨が降っていた。なんの嫌がらせだと、僕は深いため息をついた。

「入る?」

 彼女はビニール傘を開き、半分だけ空間を空け、僕を見つめる。

「……ありがとう」

「冬の雨なんて大っ嫌い」

「同意」

 これが僕と君の関係性の最高潮なんだと思うと、惨めで、でも歩く度に触れる肩に、また胸を高鳴らせる僕がいた。




問5.問6へ続く)))

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僕らの解け 月見トモ @to_mo_00

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