第5話 憧れのまま

りんかは自分が自由に最も近いと感じた時の気持ちがどうにも思い出せないでいた。

学校から帰ってきて自分の部屋の入り口で制服のセーターを脱ごうとした時、立ったまま動けなくなった。

りんかは自分で気づかぬうちにとても疲れていたのだ。

それもそのはずだ、りんかは友達と遊ぶ時も

布団に入った後も学校に行くときもトイレをするときもずっと自由について考えていたので、その時のりんかにとって本来娯楽である

物も娯楽ではなくなっていたのだ。

自由を探求する余り、りんかは自由に囚われていたのかもしれない。

やっとの思いで動き出したりんかは壁にもたれながらジャージに着替えて一言

「疲れたなぁ」と初めて言葉にして本音を言った。




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自由への憧れ あばらし @abarashi

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