第6話
異世界の技術に感動してアレクさんとリオンさんを見ると二人ともなんとも言えない顔をしていた
ここでは当たり前であろう事にはしゃぎすぎてしまったせいだろうか。恥ずかしい
なんとか空気を変えたくてとりあえず自己紹介をする事にした
そして自分の事を話そうとして私は固まった
……私の名前って、、、何?何歳?
ここに来る前私には両親がいて、だけど両親の顔も思い出せない
嘘。落ち着け私
日本って国から来て、それから━━━━━━━━
心臓がドッドッと嫌な音を立て指先が冷たくなり血の気が引くのを感じる
ベッドから降りた状態で何も思い出せない不安感から立ち上がれない
冷や汗が出て呼吸も荒くきっと酷い顔をしていたのだろう。リオンさんが私に近付きそっと背中を撫でてくれる
男性が近付いたことで一瞬ビクッとしたが、この部屋には治療してくれたお姉さんも傍にいるしリオンさんは命の恩人。それに気を失う前に吹き飛ばしてしまったにも関わらず向けてくれた優しさに拒絶の言葉は出なかった
「どうした?」
短いけれど甘く優しい声で聞かれなんとも言えない安心感から涙がポタりと流れた
「私、自分のこと何にも覚えてないみたいで」
涙が流れた事で心にかかっていたストレスも外に少し逃げてくれたのか、口を引き攣らせながらも言葉を放つことができた
しかしそれ以上は言葉にすることは出来ず、ポロポロと涙がとめどなく溢れてくる
何がここまで泣くほど苦しいのかも分からない
だけど自分の中に残ってる物が何も無いような言い表せない不安感で迷惑かと思いながらも涙を止めることができなかった
どれくらいの時間そうしていてくれただろうか
私が泣いてる間リオンさんはひたすら優しく背中を撫で続けてくれて、一通り泣いたら心も落ち着いて急に恥ずかしくなってくる
「取り乱してすいません。もう大丈夫です」
そう声をかけるとリオンさんは疲れた様子も見せず「そう」と呟いて綺麗な笑顔を見せた
リオンさんには今日迷惑をかけっぱなしなのに優しすぎでしょ…
私が泣いてる間にいつの間にかアレクさんと治療のお姉さんはいなくなっており、その代わりなのかメイドさんと騎士さんっぽい人が二人ずつ部屋の扉の傍に増えていた
周りの状況何も見えないで自分の事でいっぱいいっぱい過ぎたことを改めて実感してアレクさんにお礼を言って立ち上がった
どうやら私が泣いてる間に別室で話し合いが出来る場を準備してくれたようだ
アレクさんと向かうことになった
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