第5話
私を咎める事はせず、私を助けてくれた男性はリオン、もう1人の男性はアレクと名乗った
2人は三人兄弟でもう1人上にお兄さんがいるそうだ
そして王子様っぽいとは思っていたけど、正真正銘本物の王子様とのこと
突然転生して国の権力者と関わる事になるなんて異世界あるあるすぎる
「ところで、私はこの者の治療をお願いしたはずだが…これは一体どういう事だろうか」
アレクが椅子から落ちたお姉さんに尋ねると、お姉さんはすぐさま立ち上がり私の手に再び自分の手を近づけてきた
ちょっと待って!?またあの痛いやつやられるの!?
もう怖すぎて嫌だけど、安易に拒絶の言葉を口にしたらまたお姉さんを吹っ飛ばしてしまうかもしれない
目を瞑って震えながら再び与えられるであろう痛みに身を硬くしたが、いくら待っても痛みは襲ってこない
それどころかズキズキと傷んでいたのが徐々に落ち着いてくるのを感じて目を開けると、先程とは違い私の手は黄色い光に包まれていた
「えっ、さっきとなんで違うんですか」
先程は本当に激痛だったのだ。こんな痛みなく治療出来るならなんで最初からしてくれなかったんだろう。嫌がらせ?
若干苛立ちながら思わず聞いてしまうとお姉さんは青い顔をしてビクッと肩を震わせた
「さっき…とは?」
私の言葉に反応したアレクさんも怪訝な顔でお姉さんに尋ねた
「いえ、その、魔力鑑定と治療を並行して行おうとしただけでして、決して危害を加えるつもりではなく。申し訳ありませんでした」
なんかよく分からないけど、さっきの痛みは魔力鑑定ってやつのせいだったのか
あんなに痛みが出るものなら最初からそう言ってくれれば良かったのに
というか、傷口に塩を塗りながら治療みたいなことしないで欲しい
結局傷跡は残る事無くお姉さんは私の怪我を綺麗に治してくれた
魔法マジすごい
私もこんな魔法使えたらいいな。昔から聖女とかちょっと憧れてたんだよね
「では、治療も終わったようだし次はあなたの事を聞かせてもらってもいいかな?」
静かに待っててくれたリオンさんのお兄さんアレクさんが権力者っぽそうな威圧的な態度ではなく優しく尋ねてきた、が、
「あの、ごめんなさい。その、床を血で汚してしまいまして、私片付けますのでそれからでいいでしょうか?何か掃除道具を貸してもらえますか?」
王子ってことは王様もいて、きっとここはお城ってやつでしょ?
そんなところの絨毯を血で汚したことが気になって仕方なかった。早く掃除すればキレイになるかもしれないし
そう言うとアレクさんが私を見てニヤリとした
「この絨毯は魔法の絨毯だから手をかざして“綺麗になれ”と言えば元通り綺麗になるよ。そんなに気になるならあなたに任せるからやってごらん」
「兄上!?」
アレクさんの表情は少し気になったけど、自分が汚したから自分で綺麗にしたかったし《魔法の絨毯》って何それ!やりたい!
私はすぐさまベッドから降りて血のついた絨毯に手をかざし「綺麗になれ」とピカピカになる絨毯を想像しながら声に出した
するとアレクさんの言う通りあっという間に絨毯はピカピカになった
心做しか部屋全体の絨毯が全て綺麗になった気がする
魔法マジすごい!!異世界面白い!
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