第4話

「━━━━━━━痛っ」


突然感じた右手の痛みで一気に覚醒して目を開けると見ず知らずのふかふかなベッドの上で私の手を取るお姉さん…お医者さん?


少し冷たそうな雰囲気の女性ではあるけれど、私の手を包み込んでどうやら治療をしてくれているようだ


「痛むと思うけど我慢してね。跡は残るかもしれないけど」


そう声をかけると手が緑色の光に包まれた


~~~~~~うっ


何この治療!!めちゃくちゃ痛くて泣きそうなんだけど


痛いと叫びたいのを我慢して必死に呼吸に集中する


オオカミっぽいのに噛まれた時は驚きすぎてアドレナリン出てほとんど痛みを感じてなかったけど、寝起きでこれは辛すぎるよ。早く終わって…


そう思うけれど治療はなかなか終わらない


こんな事なら跡も残るって言ってたし、消毒して包帯巻いてもらった方がまだいいんだけど!そう思う程にとにかく激痛


だんだんと手の部分だけじゃなく腕にまで痛みと気持ち悪さが広がってきた


こんな不快な治療ならしない方がマシ!!


「もう、、やめてくだ…さい」


あまりの辛さに懇願した瞬間、治療してくれたお姉さんは「きゃっ!」と声と共に椅子から転げ落ちた


手を振り払ったりしたわけではないのになんで!?


お姉さんを見ると怯えた顔でこちらを見ている


「え、、あの、ごめんなさい…?」


やめて欲しいとお願いしたけど、そんな椅子から落ちるほど驚くことだろうか


手を見るとあれだけの激痛だったのにも関わらず全く良くなった気がしない

むしろ傷が開いたのか血が流れ出して床にポタポタと垂れてしまっていた


ひぃぃ!!めちゃくちゃ高そうな絨毯汚しちゃったどうしよう


激痛な治療っぽいことしかしてくれないお姉さんのことは既にどうでもよくなり、とりあえず垂れる血をなんとかしないと!と思って、森で助けてくれた男の人がしてくれたように左手で手首を抑えて右手を心臓より高くあげてみた


そうこうしていたら部屋に丁寧なノックの音が響いた


反射的に思わず「はい」と返事をすると、扉が開かれて2人の金髪の男性が入室してくる


1人は森で助けてくれた男性で、もう1人は彼よりも大人びてはいるけれどよく似た顔立ちから兄弟だろうか?


入室した男性二人ともが、私と椅子から落ちたお姉さんを見て一瞬怪訝な顔をしたのを見逃さなかった


治療のお姉さんを突き飛ばした(?)うえに絨毯を汚してって客観的に見たら最悪過ぎる


こんなふかふかなベッドの部屋に置いてもらえて保護してもらえて有難いのに、これじゃあ恩を仇で返したみたいだよね


追い出されるかも。。


「ごめんなさい。その、わざとではなくて。ホントごめんなさい」


そう謝ってる最中に そういえば と、自分が意識を手放す前の事を思い出した


私この人の事思いっきり吹っ飛ばしたんじゃなかった!?



拒絶の言葉でまさかまさかの男の人吹っ飛ぶ事となってしまって、痛みと混乱で思わず気絶してしまったことを思い出しますます血の気が引いた


という事は、やっぱりそこのお姉さんが椅子から転げ落ちたのって私が拒絶したからだよね!?


えっ、何そのチート。言葉に気をつけないとマジでヤバイじゃんこれ

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