第2話
うっ。。何にも出ない///
今、傍に誰もいなくて良かったと心の底から安堵した
自分でも分かるほど羞恥で顔に熱が集まってるのを感じていたから
いくら心の中とは言え《ステータスオープン》は恥ずかしい
いや、でもさ、布団で眠ったはずなのに起きたら目の前に森が広がってるなんて明らかおかしな状況なんだから、ちょっとは特別な何かが起こるって期待くらいするよね
1人で羞恥に身悶えていて、周りへの警戒なんて全くしてない雰囲気を察した獣が自分に近付いてくるなんて思ってもいなかった
タッタッタッタッ━━━━━━━━━ドン!!!
何が起こったのか分からないまま私の視界が一気に反転した
突然の出来事に打ち付けた腰の痛みを感じる事さえも出来ない間抜けな私の喉を目掛けて、突然飛びついてきたソイツは噛みつきにきた
よくアニメなんかではウゥ~と唸りながら出てくる獣を見るけれど、あれは嘘だったのかと頭の片隅で思う
確かに相手の命を狙うなら、ゆっくり近付くより最初から全力で静かに襲いかかる方が効率がいい
そう。コイツは私の命を取りに来ている
頭で考えるより先に急所を狙われてることを察した私の体がなんとか動いて手が喉を覆う
「ぅあ゛あ゛ぁぁぁ」
喉を狙ったソイツは手を食いちぎらんばかりの勢いで私に食らいつく
痛みよりも驚きと恐怖で頭がいっぱいになった
何これ何これ!!コワイコワイコワイコワイ
「うぅ……ゃだ」
怖くて喉が一気に狭くなったような…張り付く感覚がして、それでも小さくだけれど確かに出た拒絶の言葉
それで何かが変わると思ったわけではない
ただただ怖くて出た拒絶の言葉
━━━━━━━━━━━━キャンッ!!!
私の拒絶の言葉に呼応するかのように突然襲ってきたソイツが吹っ飛んだ
離れたことでようやく見えたソイツは
……オオカミ?
ゴールデンレトリバーくらいの大きさのソイツも何故自分が吹っ飛んだのか理解出来なかったようで、即座に起き上がりこっちを睨みつけながら臨戦態勢をとっている
目を血走らせて口からヨダレを垂らし、知性のかけらも感じないソイツはオオカミのようだけどオオカミと言い切っていいのか悩ましい
何が起こったのかは分からないけど、とりあえずオオカミ(?)は吹っ飛んだし出来ることなら逃げ出したい
けれど体がガクガクと震えて思うように動かない
仮に立ち上がったとしても、こんな状態で森に慣れたケモノから逃げられる自信なんて1ミリもありはしない
とりあえず私は何もしてないのにこのオオカミ(?)が吹っ飛んだってことは、誰かが近くにいて何かしてくれた??
遠くにいるから見えないだけ?それとも様子を伺ってて姿を見せてくれない?
見えないけど助けてくれた誰かを見つけたくて目だけをキョロキョロと動かしてみるけど分からない
オオカミ(?)はまだ私のことを諦めていないようで、いつ飛びつこうか様子を伺ってるように見える
コイツがもう一度飛び付いて来る前に…誰か分からないけど強い人、、
「たす…けて、、ください」
ブルブルと震えながらも懇願するように必死に声を絞り出した瞬間、その人は目の前にあらわれた
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