第2話 勇者の家と仲間
「ここが僕の家だよ」
「ん、でかい」
「まあ王都でも大きい方だからね」
あの後、勇者は隊長に魔王を連れて帰っていることについて色々言われたが、勇者権限で黙らせた。
そして、勇者とその仲間の家に帰って来ていた。
「ただいま〜」
「た、ただいま?」
ドゴーン、、、
「お前!また失敗しやがったな!」
「ちょ!?ごめんってぇぇ」
「はあ、、、またやってる、、、」
「爆発、驚いた」
勇者が扉を開けた瞬間急に爆発が起こった。
そして、その奥で追いかけっこをしている人が2人。
「んあっ!?勇者様おかえり〜」
「ああ、、、お前また失敗したのか」
「はあ、、、また爆破魔法か?」
「そうそう、うーん、やっぱ爆破魔法は実戦で使うしか無さそうだね」
「そうしてくれ、家が保たない」
どうやら爆破魔法の実験をしていたようだ。
決して家でやるような事では無いのだが。
「おう!ニーア!帰って来てたのか!」
「うん、取り敢えずみんなを集めておいて」
「ああ?なんでだ?まあ良いぜ!」
「よろしくね」
どうやらこのガサツそうな人間が奥で追いかけていたようだ。
大剣を鞘無しで背負っているが、危険ではないのだろうか。
「ニーア?」
「うん、僕の愛称だよ」
「僕の名前はねえ、ニーエントっていうんだ」
「ニーアって呼んでくれたら嬉しいな」
「ニーア、、、ん、分かった」
どうやら勇者はニーアというらしい。
ではこれからはニーアと表記するとしよう。
◆◇◆
「よーし、みんな集まったね」
「みんな、聞きたい事しか無いだろうけど、一旦落ち着いて聞いてくれ」
ニーアが改まった様子で言う。
「ええー、この度、この僕こと勇者ニーエントは、王の命令により魔王の討伐を任された」
「だが!正直に言って争いとかもってのほかだから、この通り、魔王を連れ帰って来ました」
「おおー、、、じゃあ色々聞きたいことがあるのだけれど」
さっきあの場所にいなかった女が言う。
「ちょっと待って、先にこの子の為に、自己紹介からしようか」
「ふむ、まあ良いけど」
「じゃあ、、、ドーガから、よろしく」
「おう!」
「嬢ちゃん!俺は戦士のドーガ・フェアルだ!よろしくな!」
「ん、よろしく」
あの大剣を背負っていた男はドーガというらしい。
「次は私だね〜」
「私は!いずれ、大魔法使いになる天☆才魔法使い!ハーラ・シュベイルだよ!よろしくね」
「ん、、、爆発、驚いた」
「あっはは〜、それはごめんね〜」
あの爆破魔法を実験していたのは、ハーラというらしい。
彼女にはもう少し魔法を実験する時の場所を考えてもらいたい。
「次は私ね」
「私はエーテル・マテレント、神官兼執行官をしているわ」
「執行官?」
「え?うーんとねぇ、執行官ってのはねぇ、まあ、悪人を、執行!する役職だね」
「執行?」
「執行っていうのはねぇ、、、どう言ったらいいかな、、、」
エーテルが言葉を詰まらせる。
さっき調べたのだが、この世界の執行とは、犯罪者を法の名の下に殺す作業らしい。
まあどうオブラートに包んでも異端者を殺してることは隠せないからね。
初対面でこんなこと言ったら流石に引かれるからな。
「魔王ちゃん、、、この世にはねぇ、、、知らなくても良い事もねぇ、、、沢山あるのよ」
「・・・ん?分かった?」
エーテルは結局執行官の仕事を言わなかった。
まあ英断ではあると思う。
「じゃあ最後は僕だね」
「僕はニーエント・エルドゥール、ご存知の通り、勇者と名乗っているよ」
「ん、ニーア」
◆◇◆
ニーエント、、、虚無、、、か。
彼は自分の行き着く先についてどれ程知っているのだろうか。
台本に操られる人生についても、全てを包み込む光と闇についても。
だがそれに関して私が出来る事は何も無い。
せいぜい、その苦しく長い、永遠とも言える、そんな衰退への道のりを世界に刻む事程度しか私には出来ない。
しかし、私は全てを刻んでいこう、彼の進んでいく未知への道のりを。
いずれ彼が壊れてしまったとしても、誰かが覚えている限り本当に消えてしまう事は無いのだから。
おや?少し語り過ぎてしまったな。
職業柄、対価無しに情報を与えるのは気が進まないが、これは私の過失なので見逃すとしよう。
更に知りたければ何か、大きな対価を払えば良いのだ。
魂でも、愛する者でも、その惨めな人生でもなんでもな。
又は私の図書館へ来なさい、来れたならば一生かけても得られない量の知識を与えてやろう。
この世界の真理までも、、、な。
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