見覚えのある依頼者と謎の事件~調査file.明かされた真相の結末と行方~

さて、前の話で謎を解くための"ピース"が幾つか埋まったと思う。


これを踏まえて妖斗と棗と情報屋が探偵事務所に集結した今、謎めいた事件は調査フェイズへと移行する!


そのまえに今まで集めた"キーワード"の、おさらいをしようか…。


まずは1つ目、『無数の視線』。


これは依頼者である女性が姉と出くわした人間では有り得ない数の目に見られているという現象だ。


次に2つ目、『帰り道』。


これに関しても1つ目のキーワードと関連が高く、夜道での帰路で起こったとされる事例だ。


最後の3つ目、『女性』。


このキーワードに関しては1つ目と2つ目と資料の内容や情報屋の調査した資料の条件と照らし合わせた結果、いずれも女の人が被害者とされ、導きだされた答え。


妖斗の《脳内パズル》には今の段階では3つのピースが埋まっている。


だがピースは全部で5つ、空欄が有り、絵は完成していない…。


これを完成させ、事件の真相を暴き、解決しないとならない。


このあと、妖斗と棗と情報屋による調査が始まります。


是非とも皆さんにも謎を解決する手伝いをして頂けると助かります、では開始!!


「うーん…。きみ達から頂いた資料を元に今から調査する場所と聞き込みをする人物について段取りを決めよう。」


先程まで、ふざけ合っていた2人だったが妖斗が情報屋と棗に改まった様子で声を上げた。


「それ、私が言おうと思ってたんですけど?!妖斗せんせいに先越されました…。情報屋さんも何か言ってくださいよー」と隣に居た情報屋にプンスカした顔で話を振る。


「そうですね!自分も思っていました。調査する上で段取りが決まっていたほうが行動しやすいかと。」と爽やかな笑顔で優しく言った。


「それじゃー、決まりだな!

まずは、依頼者が提案した"被害者である姉"へ話を聞きに行こう。


それから現場検証だ。

情報屋、おまえは僕と一緒に来い。


棗は現場検証の時に能力が必要だから指示があるまで待機しろ。


とりあえず今日は夜も遅いし準備だけして明日、依頼者を連れて案内させろ。


話は以上だ。意見か質問はあるか?」と淡々と言う。


「そうですね…。意見はないのですが、1つ質問いいですか?」と小さく手を挙げると淡々と話はじめた。


「私の能力を今回つかわないと解けない謎なんですか?


だとしたら、温存するために話を聞きに行くのは情報屋さんと妖斗せんせいになりますけど、同行しちゃダメなんですか?」と質問を返した。


「そうだね、その質問に対しての答えは、今回の事件はキーワードにもなっている『女性』に当てはまる。


だが発生するかどうかについては別だ。あと話を聞くにあたり情報屋の能力が適任だと判断したんだ。


もっとも彼のもつ"情報を聞き出す"能力、これが役立つと思っている。


僕は付き添いと監視役だ。


あと、きみには危ない目に遭ってほしくはないが正直に言うと今回の事件は過去の事件と何らかの干渉が有ると思っている。


それを調べるのに棗くんの能力が必要ということだ。わかってくれたかね?」とニコッと、うさんくささMAXの笑顔で笑う。


「長々と説明ありがとうございます。


よくわかりました。とりあえず私は依頼者に段取りが決まったので明日のために今日は泊まってくか、きいてきますね~」と呆れた顔で手を振って背中を向け、依頼者のもとへと向かった。


そのころ情報屋と妖斗はというと2人で静かに話をしていた。


「妖斗さんと2人で調査、久しぶりです。でも自分が出しゃばって良いのでしょうか…。」と子犬のように、しょぼくれる。


すると妖斗は「今回も前回と一緒で話を聞くのに情報屋の能力が不可欠なんだ。


分かってくれよー、おまえだけが頼りなんだ。」と、しおれた姿で膝立ちしていた彼の頭を撫でて優しく言って微笑んだ。


その瞬間「妖斗さ~ん。そんなに自分を頼ってくれるなんて嬉しいです、頑張ります!」と今度は気分の良くなった子犬になった。


一方そのころ、依頼者と棗が向き合って茶をしばきながら話し合っていた。


「かくかくしかじかで、外は暗くて寒いですし、せっかく来て下さったのも有りますから今日は探偵事務所のほうに泊まられてはいかがですか??


もし明日、予定が大丈夫でしたら妖斗さんと情報屋さんがアナタにお姉さんのところまで連れて行って頂きたいと言っていました。大丈夫ですか?」と話す。


すると「はい、大丈夫ですよ。明日は休みですし姉も連絡したら話しをしますって言ってました。


あと泊まらせて頂けるという話すごくありがたいので宜しくお願いします」と返す。


「では決まりですね!事務所の1部屋が訪問者用の泊まるスペースとなってますので良ければ、そちらを使ってくださいね!


私も今日は一緒に監視役ですが寝させて頂こうと思ってますので頼ってください!」と手を取りニコッと笑う。


依頼者は「ありがとうございます…助かります…!!」と返し、胸ポケットからスマホを取り出してメッセージを打って返事を待った。


「あ、大丈夫みたいです。姉が泊まっていきなさい。と言ってくれましたので宜しくお願いします。もし手伝えること有れば言ってください!お手伝いしますから。」と手を握り言った。


こうして依頼者が探偵事務所に泊まることが決まり、棗も彼女を守るため同じ部屋で泊まることとなった。


話が終わったところで棗が妖斗たちのもとへ戻って行き、先程のことを話した。


「なるほど!ありがとう。さすが助手くん、気が利くね〜。おもてなしも完璧だ。」とグッっと親指を立てた手を顔の横で作り、ニカッと笑う。


「とりあえず準備しに行ってきます。


情報屋さんも今日は帰れないと思いますんで妖斗せんせいの部屋に泊めてもらってください。


夕飯まだなので良ければ一緒にどうですか?」と言うと「ありがとう、棗ちゃん!お言葉に甘えて夕飯と泊まらせて頂くよ〜。」と屈託のない笑顔で返した。


「決まりだな、棗くん。夜ご飯の用意を頼めるか?」と言うと「わかりました、今日は残ってる食材で作るので期待はしないでくださると助かります。」と返した。


すると妖斗が「依頼者も泊まるなら食事も一緒にするか聞いといてくれたまえ。」と付け加える。


「そうでした、聞き忘れました。さっそく聞いてきます。」と言うと再び依頼者のもとへと向かって歩き、消えていった。


「ふぅ。やれやれ、これも何かの縁なのか、僕は"あいつ"に振り回されている気がする。何年か前の事件で僕がミステリーハンターとしての才能と探偵として目覚めた最初の事件。


忘れたことはない。ずっと引っかかっていた。真相を暴く時が来たのかもしれないな…。」と俯きながら呟く。


「妖斗さん?あの事件のこと、まだ引きずってるんですか〜。


自分も関わって初めて情報屋として向いてる〜思ったキッカケの。


だけど今回の事件も似たり寄ったりで未だにハッキリとは分かってませんよね?」と情報屋が言うので「そうだな。」と一言だけ返すと苦笑いをした。


一方、棗と依頼者はというと…。


「すみません!先程、聞き忘れてしまったのですが夕飯まだで今から準備するんで出来れば手伝って頂けると助かります…。」と言うと依頼者は頷き「もちろんですよー、お世話になりますし。これぐらいはさせて下さい!!」と手を叩き笑って言った。


棗は依頼者にエプロンを手渡して自身も付けて準備を終えるとキッチンに移動し「それじゃー、この食材を洗って切ってくれますか?」と冷蔵庫から取り出した野菜たちを手渡して言う。


「わかりました!ピーマンとタケノコは切り方は細切りで、しょうがは刻んでみじん切りにするので大丈夫ですか?」と聞き返す。


すると隣りにいた棗が「そうです!私は牛肉を切りますから。」と野菜と一緒に取り出した牛肉を細切りにしながら言う。


「白米も先程、炊く準備して炊飯器のボタン押したので炊きあがるまでに作りましょう!


あと、中華スープと惣菜もう1品つくりたいので揚げ油を温めてくれますか?」と棗が女性に言う。


彼女は頷き、キッチンのIH対応の料理用ヒーターの上に乗せてある揚げ物用の鍋の目の前に移動し電源を入れる。


「これ、昨日作り置きしていたものです。既に揚げるだけにしてあるので油が温まったら揚げてもらえますか?」と冷蔵庫から揚げるものが沢山のったトレーを取り出した。


「え?!この量を1人で作ったんですか?!何人前あるんでしょうか…。」と女性が目の前の量に驚きながら言った。


すかさず「あ!これ10人前です。妖斗せんせいと私どちらも大食なので…。


1回で2人合わせて4人前たべるので2日分つくってまして、来客が急に来ても良いように多めに作ったんですよ!」と棗がクスッと笑いながら言って、おどけた。


「なるほど…。納得しました。でも全部あげるのに時間かかりそうですが夕食の時間に間に合いますか??」と質問で返した。


それに対して棗は「大丈夫かと思いますよ、あの2人なら食事の準備をしている間にも調査の準備したり色々すると思うので。


待たせてしまっても問題ないかと。とりあえず炊飯器の米も30分以上は炊けませんから。」と再び笑う。


一方その頃、妖斗と情報屋はというと。


「おまえ、服どうするんだ?俺のを貸すか?それとも予備があるのか??」と情報屋に問いかけた。


すかさず「はい!予備は常に持ってますよ。最近なにかと"不可解な出来事"が多発しているようなので、スグ対応できるように何着か車に積んでますね。


一応、表向きは"カメラマン"扱いではありますけど記事にする為に取材したりとかするので、張り込みとかもしますし。


あと妖斗さんとサイズ合わないので。」とニコッと笑いながら言ってきた。


「あ?サイズ合わないだ…。あ、そか。僕のが小さいもんな、背は。頭脳に関しちゃ僕のが上だけどね〜。」と嫌味ったらしく言ってみせる。


その様子を見ていた情報屋は「妖斗さんらしい返しかた。自分そういう言いかたするときの妖斗さん可愛くて大好き!!


あ!そうだ、久しぶりだしゲームでもしません?何にしよっかな〜、これにしましょう!【ダイイングメッセージ】。


事務所に来たときから、ずっと気になってたんですよ、まだ夕飯が出来てないみたいですし、2人で暇つぶしに、やりましょう!」と、おどけながら部屋の棚にあったボードゲームのパッケージを指さす。


この【ダイイングメッセージ】というボドゲは2人~最大8人まで約30分程度で遊べる、推理小説のような「名探偵」と「名死体」になるイマーシブ推理ゲームだ!


ほかにも探偵事務所らしい推理系のボドゲが棚には、たくさんある。


しかし情報屋が目に付いたのはこのゲームだけだった。


「仕方ないな、やるか!夕飯の準備おわるまで声かけられないだろうし。」と妖斗も乗り気だ。


「いきますよ~。えーっと、まずは、じゃんけんで勝ったほうが役職きめれるってのは、どうですか?」と提案する。


それを聞いて「いいぜ!じゃんけん、ぽんっ!」と、いきなりグーを出した妖斗に対して慌ててチョキを出した情報屋。


「負けました。どちらにしますか?やはり探偵ですか??」と言うと「もちろん、探偵だな!」とニカッと笑う。


こうして2人は約30分以上もの間、暇つぶしにと始めた推理系ボドゲを楽しんだ。


さて少し茶番が長くなってしまいましたが夕飯の準備をしている棗と依頼者の女性の様子を見に行こう。


もう少し付き合ってくださいね!


キッチンにて棗と依頼者の様子はというと、炊飯器で炊いていた米も炊けて作り始めた惣菜たちが出来上がっていた。


副菜の中華スープも既に出来上がっているようだ。


「お手伝い、ありがとうございました!

いつも1人で作っていたので、とても助かっちゃいました。」と出来上がったものを菜箸(さいばし)で手早く皿に盛り付けた。


「ふだん料理してる人らしい仕切りかたしていたから、たぶんそうなのかなって。あ!これ運びますね!」と盛り付け終えたメニューたちをダイニングテーブルに置く。


「よし!米は皆さんが集まったら盛るので先に座って待っててもらえますか?妖斗せんせいと情報屋さん、2人を呼んできますね~」とエプロン姿のままキッチンを離れた。


「なに?!これがダイイングメッセージだと??ふむ。いかにもな感じではなかったがゆえに、すこし手間取ってしまったな…。」と苦笑いしていると「いえいえ、最後には見破ったじゃないですか!さすがは「名探偵」ですね〜。お見事です!!」と拍手をしながら笑顔で言った。


そこにコンコン、と扉を叩く音がした。


「妖斗さん!情報屋さん!夕食できましたんで呼びに来ましたよーって何してるんですか??」と部屋に入ってきたので妖斗が「情報屋と一緒にボドゲをしていたんだ。久しぶりだったから楽しかったな〜」とガハハっと笑う。


「2人とも楽しかったみたいですね!夕飯なので早く来てくださいね、依頼者のかたも待ってますんで。」と言って部屋を出て行った。


「うむ。ご飯たべにいこう。棗くんの作る飯は美味いんだ!楽しみだな〜」とウキウキ顔で椅子から立ち上がった。


「そうですね!棗ちゃん、まだ学生さんなのに住み込みで事務所の上に住みながら妖斗さん支えてて、すごいな〜って思ってたけれど料理も掃除も来客の対応も完璧に出来て妖斗さん専属の家政婦さんみたい!」とニコニコしながら椅子から立ち上がるとクルッと回った。


「おまえは、よく喋るな〜。片付けも終わったし、よし行こうか。」と部屋を2人して後にした。


数分後、事務所の上の階にある妖斗の部屋と棗の部屋の隣の部屋に食べるためのスペースがある。


ちなみに、この事務所がある建物は古い建築物であるもののモダンな造りになっていて実は建物の所有者は妖斗のものだったりする。


それは後ほど話す機会が有ると思うので待っていてほしい…。


部屋から部屋へ移動してきた2人はダイニングテーブルのあるスペースで棗と依頼者の女性を見つける。


「あ!やっと来ましたね、余ってる席に座ってくださいな。はい、これ。白米です。どうぞ食べてください。」と棗はキッチンで茶碗に炊きたてご飯を盛って手渡していた。


「ありがとうございます。ツヤツヤの白い白米、久しぶりに食べます…。おいしい。」と涙目になりながら女性は話す。


「はい!妖斗せんせいたちの分です。どうぞ。」と爆盛りに盛られた茶碗と半分ほどの量に盛られた茶碗を、それぞれに手渡しエプロンを外すと空いてる席に座った。


棗の分は既に妖斗と同じ量の白米が茶碗に盛られていた。


4人は一斉に「「いただきます!!」」と橋を持つ前に手を合わせる。


「お!今日の惣菜は中華で"青椒肉絲(チンジャオロース)"と"春巻き"か!あと中華スープも、うまい!さすが僕の助手。」と目の前の惣菜を食べながら爆盛り白米を上品に、かっ食らう。


すると依頼者の女性が隣に座っていた棗の食べっぷりを見て「あの、女性の大食漢って初めてみました!わたし、そんなに食べれないから…。」と女性がつぶやく。


聞こえてしまった棗が「ここの街じゃ、大食の人たくさん居ますよ?もしかして地元ここじゃないとか?!」と聞き返すくと俯きながら「はい、実は地方から引っ越して来た身なので…。」と言った。


それを聞いていた情報屋と妖斗が依頼者の女性に不思議に思ったこと、この街に来て不可解な事件に巻き込まれた原因などを深堀していった。


この会話についても後ほど話すとしよう。


数分後、4人は話つつも大量にあったメニューを全て食い尽くした。


妖斗と情報屋の2人は「「ご馳走様でした!」」と言い、棗と依頼者の女性は「「お粗末さまでした。」」と言った。


すかさず「美味しかった!棗ちゃんの料理すごい満足感あって自分すきです!!」と情報屋が満面の笑みで無邪気に笑いながら棗に言ってきた。


「ありがとうございます。情報屋さん、いつも美味しそうに食べてくれるし作りがいあります。」と棗は少し照れた様子で俯きながら言った。


これで食事パート終了です。


このあと、いよいよ《調査パート》と《推理パート》が繰り広げられます。


諸事情により、女性組と男性組が別れて寝た部屋でのエピソードについてはエピローグで話すので割愛させて頂きますね。


各自、寝泊まりした部屋から明るい日差しが顔出した頃。


「ふぁ〜、よく寝た。棗くん!紅茶いれてくれないかー」と妖斗が、あくびしながらパジャマ姿でキッチンのある部屋に来た。


「妖斗せんせい、おはようございます。時間は大丈夫ですか?」と紅茶を用意しながら話しかける。


「情報屋は既に車のなかに居るのか?起きたら居なかった。朝飯くれ。」と質問して催促すると横に棗が現れる。


「たしか朝7時ごろに彼は朝飯とって車に着替えに行きましたよ?はい、紅茶と朝ごはんです。」と席に座っている妖斗の目の前に目玉焼きが乗ったトーストと焼かれたウィンナーとサラダが添えられているプレートを置く。


「ありがとう。そうか。」と呟き、目の前に置かれた朝食を手に取り食べる。


「私は今日、待機って言われてるので事務所の部屋の掃除でもしてます。何かあれば連絡してくださいね!」と隣に座り言うと自身も用意された朝食と牛乳を並べ食べ始める。


数分後「よし!美味しかった。では僕は着替えたら情報屋の居る車に向かうよ、留守の間、棗くん宜しく。」と着替えに部屋へ戻って行った。


しばらくして着替え終えた妖斗が探偵らしい縞模様の茶色いスーツ上下に白のYシャツ、シンプルな赤のネクタイとオリジナルの"月ノ神"と記されたロゴが付いたネクタイピン、そして探偵には欠かせない、あの帽子を被っていた。


「ふぅ。ようやく着替え終えたぜ。情報屋!それと依頼者の…今日は宜しくな!」とニカッと笑い挨拶をする。


「こちらこそ、お世話になった上に依頼まで引き受けてくださったので、お礼です。気になさらないでくださいな。」と、にこやかに返した。


「妖斗さん!今日も決まってますね〜、とりあえず…依頼者さんの彼女が案内しつつ調査の一環として事情を聴取する流れで!」と運転席に居た情報屋さんが言う。


情報屋さんは調査するのに適した動きやすそうな服を着ていた。


"何でも屋さん"じゃないけど名前が記されている服を着ているので伏せておこう。


同行する依頼者の女性はというと、着替えは持ってきていなかったため、服装は昨夜と同じものだ。


雨にぬれていたのに着れているのは寝る前に棗が洗って乾燥機に掛けたからだ。


そうして乗り合わせた3人は依頼者の女性から提案で彼女の姉に会いに行くことに。


今日は天気が良く、晴れているが、日差しが強いため暑さ対策と長距離の移動するために車に乗って車道を走っていた。


「わざわざ昨日は泊めて頂いて、ありがとうございます。あの天気じゃ、帰れなくて困ってて。」と後ろから助手席に座っている妖斗に話しかけた。


「いえ、こちらこそ。キミの役に立てたなら僕も嬉しいかぎりだ。しかしキミの姉に会うのも久しぶりな気がするね。


やはり会ったことあるだろうか…。」と悩んでると運転席の情報屋が「たぶんですが、妖斗さんは彼女の、お姉さんに会ったことあるかと。前回の記録にも調査の一環で尋ねた事があると書いてありました。」と話す。


「やはりか。とりあえず、着いたら教えてくれ。僕は少し目を閉じるよ。寝不足で頭が回らなくてな。」とあくびをした。


しばらく3人は会話はなく、女性が後ろの席で指示を出して数時間後に目的地に到着した。


「あ!ここです。わたしの家です。」と車から降りて目の前の建物を指さす。


「ここがキミの家か。なんとなく見覚えが有るな。たぶん1度きている。」と建物を見上げながら言う。


彼女は別に厳(おごそ)かな雰囲気の家の生まれではない。


しかし目の前の建物も普通の家庭では珍しいタイプの洋風の館だった。


「この家は実を言うと親戚の家なんです。大学へ進学を機に住まわせて頂いてて今は大学院に通っているんですよ。」と女性が話す。


「なるほど…。とりあえずキミの事情は資料と照らし合わせてみると4年前、この家に引っ越してきて大学に通ってるとある。間違えではないな。」と呟く。


隣に居た情報屋が2人に「そろそろ時間になりそうなので伺いましょう。大丈夫ですか?」と慌てながら言ってきた。


「そうだな、呼び鈴をならすぞ。」と館の扉に付いているベルを鳴らす。


ジジジッとなったあと、ドアが開いた。


そこには年老いた執事とメイドが1人づつ迎えてくれた。


「ようこそ、おいで下さいました。


花那(かな)お嬢様から、お伺いしております。どうぞ、ごゆっくり。


そして、茉那(まな)お嬢様、お帰りなさいませ。」と2人は招かれ、名前を呼ばれた彼女こそ依頼者の女性だ。


彼女の名前は"叶宮 茉那(かなみや まな)。


いまは大学院生として"時ノ嶋大学"通っているそうだ。


これから話を聞きに行く女性は茉那の姉である"叶宮 花那(かなみや かな)"。


彼女も"時ノ嶋大学"に通う大学院生であり歴史学部の秀才らしい。


こうして2人は秀才である茉那の姉に事情を聞くわけだが、思いもよらぬ出来事に遭遇する。


何かが起きる予感がする…。その直後。


ガシャン!っと廊下にも響く大きな音。


「か、かな様!!頭から血が…。すぐ主治医を呼んできますっ!」と少し離れた場所にある部屋の扉が勢いよく空いて、若くて背の低いメイドが飛び出してきた。


それを見て年老いた執事が駆け寄り「どうしたのだ?何があった。話せ。」と詰め寄る。


メイドは怯えた様子で周りを見渡し「談話室の、お部屋で待って頂いて居たのですが突然どこから"無数の視線"と"奇妙な声"がして…。そしたら、部屋が真っ暗になって座っていた、かな様が悲鳴を上げられて気づいたら電気がついたのですが、その瞬間に血を流して倒れられたんです。」と再び周りを見渡し泣き崩れた。


「なるほど…。話は聞いたぜ!その事件、この僕が解いてみせる!」と高らかに笑い拳を突き上げた。


「まずは出来たてホヤホヤの現場を調べたいところですが、話を聞く約束をしていた女性が怪我をしたということで自分たちが彼女に接触することを最初から分かっていたのでしょう。やられましたね…。」と情報屋が言う。


「そうだな。まさか話を聞く前に"ターゲット"を襲うなんていう事例は今まであたか?」と情報屋に問いかける。


「そうですね…。今までないと思います。実際に手を下すというのは"怪異"が原因だとしても珍しいことかと。」と資料を見つつ妖斗へと返す。


「そうだろうな…。とりあえず、怪我人は医務室にはこんだか?」と近くで怯えていたメイドに話を振る。


「あ!はい…、先程、部屋から運びましたけど。お願いします!かな様を襲った犯人を捕まえてください…。」と再び泣き崩れた。


それを見た年老いた執事はメイド長と共に第1発見者のメイドを近くの長椅子に座らせた。


「さて。情報屋、一緒にいこう。予期せぬ調査が入ったが何かの縁だろう。とにかく究明に急ごう。」と真剣な眼差しで扉を指さす。


情報屋は頷き、妖斗の後ろを歩きながら自前のカメラで事件現場に向かう途中も屋敷内を撮影していたが妖斗が足を止める。


「ここだな。鍵は…開いているな。電気は付いたままか。さっきメイドが話していた"無数の視線"と"奇妙な声"。


この2つは調査の資料でも共通していた。しかし、見つけたキーワードには『無数の視線』が強く出ている。


この段階では彼女が何らかの事件に巻き込まれた可能性しかない。


"怪異"が原因なら、4年前に行っていた"儀式"が気になる。


だが資料など、どこにも…。」


そう呟きながら現場の床を見渡したり、机を探していると、机の上にある紙が目に留まる。


〈時ノ嶋に現れる世にも奇妙な現象について。〉と書かれていた。


「情報屋!これ、もしかして…。」と棚をしらべていた情報屋を呼び寄せると指を指した。


「これは!まさか…。たしか、この地域で何十年も前から住み着いて居たとされる、"あやかしもの"いや、"怪異"についての資料ではないですか?!」と驚く。


「間違いない!やはり決めては『儀式』だったんだな。」と妖斗の脳内パズルに新たなピースが埋まった。


残り1つ、ほかには…。


更に周りを見回して探っていると、床に落とされていた首飾りを見つける。


「この首飾りは!依頼者の茉那くんも確か首からさげていたね。周りに考古学てきな文字が書かれているやつだ。なんて書いてあるのか僕にはサッパリわからないが。」と首飾りを拾う。


拾った髪飾りを情報屋に見せると「妖斗さん、これ、さっきの資料に載っていた文字ですよ!自分これ知ってます。確か…。」と言ったあと部屋が暗くなり、2人は"奇妙な声"と"無数の視線"、そして"無数の腕"が現れた事に気づく。


「妖斗さん!!すみません。いま電源つけますね!」と走りに行った情報屋が急に悲鳴を上げだした。


すると電気が付いたかと思えば、不自然に浮いていて気絶している情報屋が現れた。


それを見て、手にしていた首飾りがないことに気づく。


そして情報屋の首にかかっていたのだ。


「情報屋!いま助ける。待ってろ!!」と叫ぶと見えない何かからの視線と声が聞こえた「我の計画を邪魔する輩は誰じゃ。お主、さては"異能力者"じゃな。失せろ!」と真横から透明な手が妖斗を襲った。


しかし身体能力の高い妖斗は攻撃を回避。


「そうだな、僕は"異能力者"。お前らのような人間に害をなす"怪異"を捕まえて研究するミステリーハンターともいう。


だが今回ばかりは残念だったな!


この僕が居る限り、計画は遂行できん!


覚悟しろ!いまスグとっ捕まえてやる。」


そう意気込んでいると再び攻撃を仕掛けてきた。


「我の正体は何なのか当てるが良い。


当たらなければ、コイツがどうなっても知らんぞ。」と首飾りをした情報屋を見せびらかして笑う。


「仕方ない…。いま集めたピースだけで何とか推理するしかないのか…最後のピースは、きっと"首飾り"調査の資料にも襲われた人々の共通点に古代文字が記された"首飾り"をしていたとある。」


そう呟くと最後の脳内パズルが埋まった。


すると脳内に出来たパズルが絵となり、目の前にいる"怪異"と同じ"無数の腕"を持っていた。


「おまえのベースは《多腕》だな。

これが"無数の腕"の正体だ、ら


そして、古来より日本で存在が認められていたとされる"あやかし"の1種である《百々目鬼(どどめき)》。


"無数の視線"の正体だ。


本来ならば女性である必要がある。


だが、おまえは母親がコイツで、父親が多腕だったことにより、"異形"となり、配合された存在となった。ちがうか?」


妖斗が推理を終え怪物に向き直り、言い放った。


すると、その怪物は、掴んでいた情報屋を離してしまった。


「な、なぜ分かった!オレの正体を!!」


唸りを上げ、怪物は泣きじゃくった。


「それで、なんで女性ばかり狙う。

目的はなんだ?教えろ。あと、これ、首飾り。お前の形見か?」と倒れている情報屋から剥ぎ取った首飾りを見せる。


「それは代々、オレの家系が受け継いできた代物でな。神様として長年、この地域で祀られてきたんだ。しかし信仰者が減って暴走した。そして"首飾り"を身につけた女性を襲うようになった。」と話す。


「なるほど…。お前は何かをしたいと願った、それも悪魔とかに。」と言うと。


察したのか、いきなり扉が開いて茉那が入ってきた。


そして隣には事務所で待機していた棗が居た。


「な、棗!茉那さんまで。どうして?!」と妖斗が言うと棗がカツカツと靴を鳴らして怪物に近づいてきた。


「妖斗せんせい。コイツは私と茉那さんが通う時ノ嶋大学に人間として通っていた大学だと思います。


正直な話、怪しいと思ってたんですよね、とりあえず捕まえましょうか?」と言うので頷き呪文を唱えた。


「"怪異"あるところに"あやかし"も現れようぞ、ありとあらゆる"異形種"よ、従いたまえ!!」と妖斗が言うと透明な波形のような物が現れ、それが怪物を捉えた。


「よし!捕まえたぜ。帰って話きこうか。」とニカっと笑うと捕まえた怪物は何故だか小さくなって結界の貼られた鳥籠の中に収まっていた。


かくして茉那をメイド長と執事に預け、自宅へ帰宅したとし、妖斗と棗、そしてたおれていた情報屋を連れて車に戻り、取り抑えた"怪異"を連れて館から出た。


「あれ?みなさん…。怪物つかまえたんですね?!自分なんにもしてなくて、ごめんなさい。」と後ろの席で目を覚まし嘆いている情報屋に棗が説明して、この一件は落着したという。


しばらくして事務所に戻ってきた3人は事務所の一室で現場から捕まえてきた怪物と改めて話をした。


「今回の事件は、コイツ《多腕》と《百々目鬼》の配合種。名前は…わからないけど時ノ嶋に伝わる伝承の1種と考えていい。


いわゆる"信仰者の激変"が原因で何らかに接触した形跡がある。


そして事件が引き起こされたと考える。


要するにコイツこそ【被害者】なんだ。」


そう語る、妖斗は何だかカッコよくて、でも何故かキラキラしていて凄く素敵だ。


こうして"時ノ嶋"という土地に祀られた怪異が神様として残る、謎の話。


これで、おしまいです。


<めでたしめでたし…。>

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