第3話、可愛いお花
……マジかよ、
僕、星乃希愛は絶句していた
「デカすぎるだろ、この家」
「そう…?」
門をくぐると左右には花壇がずらりと並んでいる、雑草ひとつも生えておらず、一つ一つの花が個性を主張するかのように太陽へと背伸びしていた
「綺麗でしょう?」
「この花、小さくて可愛い」
僕がしゃがんで一輪の花を指さすと、リアネはちらっとこちらへと振り向いた
「ここは全部アンスリウムが管理しているのよ」
「アンスリウム……?」
「以前私が助けた子よ、それ以来たまに来てはこうして、花の手入れをしてくれているの」
「あら、初めましての方ですね」
僕は驚き、すかさず振り向いた
「今日は来ない予定の日じゃなかったのかしら?」
「花の様子が気になって見に来ちゃいました♪」
「ところでそちらの方は?」
「え、あ、星乃希愛です!」
「今日からここに住む子よ、森の中で迷子になってたようだから助けたの」
「なるほど、私はアンスリウム、アンって呼んでくれればいいですから!」
この方があの花壇を手入れしているのか、
「ちなみにこの名前はリアネちゃんが付けてくれました!」
「アンスリウムの花言葉は……か、可愛いだからって…///」
リアネは隣で嬉しそうに微笑んでいる
一方のアンは顔を真っ赤にしてモジモジしているといった様子だ
「私は花壇の手入れしてくるから!またね!」
「行っちゃった…」
彼女は台風のように去っていった、元気な人だなと思いつつ、僕は遠目で花壇の方に目をやる、とても楽しそうに花の手入れをする様子に、僕は何故か納得をするのだった
名付けてもらったって、どうゆう事……?
疑問に思いつつも口に出すのはやめておいた、
「さ、行きましょ」
リアネは再び歩を進める、
「アンっていつもあんなふうに花壇の手入れをしているのか?」
「そうよ、いつもは月、水、金、土に来てくれるのだけどね」
「な、なるほど、」
近づけば近づくほど大きい家である、
「さ、入るわよ」
リアネは慣れた手つきで家の戸を開ける
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「こちらは希愛よ、今日からここに住まわせるわ、部屋に案内してあげてちょうだい」
「分かりました、お嬢様」
いや、メイドまでいるのかよ!と、心でツッコミを入れつつ、僕はメイドさんについて行くのだった、
長い廊下を何回か曲がって僕はそこに案内された、ここに来るまでにも何部屋もあったが、自分の部屋を覚えるだけで結構苦労しそうだ
「お嬢様が来るまでここで待っていてくださいね」
「他の部屋はまたそのうち紹介しますので、自分の部屋をまず覚えといてくださいね」
「わかりました」
「確認ですが、えっと、この部屋本当に使っちゃっていいんですか、?」
「もちろんいいですけど、何か不満なこととかありました?言ってくれれば変えますよ?」
「あっ、全然大丈夫です」
「そうですか?ならよかったですが、遠慮はしないでくださいね?」
「わかりました……」
部屋広すぎるって、
前の自分の部屋の5倍以上は普通にある気が……
まぁいい、気にしたらダメな気がする、
僕はふかふかのソファーに腰を下ろした
……というか、こんな部屋にもソファー付いてるのかよ、大画面のテレビもあるし、
それに……
「キッチンまである……」
僕は料理が好きなので、嬉しい限りである
……あっ、そうだった
「リアネ、まだかな……」
不用意に動くわけにもいかないし、今はただ、リアネが来るのだけを待つのであった……
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