3.幸せ(仮)
「ところで私聞きたいんだけど、ここって何なの?
ワケアリってのにこだわるんなら、もっと、こう、さ。」
...
「ねぇ?」
「うん?」
どうやら創設者は聞いていなかったらしい。
「お前ら何でここに来たの?」
「え?」唐突な話題転換に戸惑う僕。
「だって、ここ来たってことはなんかあるんだろ?」
違う、今のえ?はそうじゃなくて。
「そうだね。」
でも答えてしまう僕。
「そうだよ。」
便乗。
「だろ?」
「せっかくここに集まったんだからさ、自分の事、全部話してみればいいじゃんね。」
それにはまだ早い。
「そうだね。」
あーもう。
「うん。」
「でもさ。」
自分でも驚く程簡単に口から飛び出た三音。ずっと人に聞かす勇気が出なかった三音。
自分で意識しなくても何故か自然に出て来た三音。
きっと今僕の目はビー玉くらい丸いに違いない。
「ん?どした?」
「まだ、話すには早いよ。」
「そか?」
「うん。ちょっと準備が出来てない。」
「おっけー」
「ありがとう。」
自然に接するのに必死になりながら困惑しているのは、僕。
気付かずに首をかしげるのは、凌。
何故か目を伏せているのは、孝。
僕は幸せだった。初めて学生らしいやり取りが出来たんじゃないかな。明日もきっと2人に会える。そう考えると胸が躍るようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます