3.幸せ(仮)

「ところで私聞きたいんだけど、ここって何なの?

ワケアリってのにこだわるんなら、もっと、こう、さ。」

...

「ねぇ?」

「うん?」

どうやら創設者は聞いていなかったらしい。

「お前ら何でここに来たの?」 

「え?」唐突な話題転換に戸惑う僕。

「だって、ここ来たってことはなんかあるんだろ?」

違う、今のえ?はそうじゃなくて。

「そうだね。」

でも答えてしまう僕。

「そうだよ。」

便乗。

「だろ?」

「せっかくここに集まったんだからさ、自分の事、全部話してみればいいじゃんね。」

それにはまだ早い。

「そうだね。」

あーもう。

「うん。」

「でもさ。」

自分でも驚く程簡単に口から飛び出た三音。ずっと人に聞かす勇気が出なかった三音。

自分で意識しなくても何故か自然に出て来た三音。

きっと今僕の目はビー玉くらい丸いに違いない。

「ん?どした?」

「まだ、話すには早いよ。」

「そか?」

「うん。ちょっと準備が出来てない。」

「おっけー」

「ありがとう。」

自然に接するのに必死になりながら困惑しているのは、僕。

気付かずに首をかしげるのは、凌。

何故か目を伏せているのは、孝。

僕は幸せだった。初めて学生らしいやり取りが出来たんじゃないかな。明日もきっと2人に会える。そう考えると胸が躍るようだった。

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