第307話

「二年か、下手すりゃそれ以上に延びるわけだろ?会いに戻るつもりあんの?」





めちゃくちゃ直球で追い打ちかけてくるし。

あからさまに心配ですって顔に出してくるし。


普段空気を読む人ほど、情が絡むと熱くて困る。



言葉を詰まらせて手元のナフキンを弄ってると、秋緒さんが前のめりだった一世の勢いを押し戻してくれた。





「私達が心配しなくても二人が決めるわよ」





秋緒さん。相手の側面や裏側を見てくれる視野の広い人。

全てを理解したように穏やかに笑いかけられると安心しかない。




今は考えなきゃいけないことが山ほどある。

でも譲のことはその中に入ってない。




「心配しないで。離れても、例え別れたとしても、何となく大丈夫だって思ってるの」




胸の内を語るのは大嫌いだった。

他人に自分を見せるのが本当に苦手だった。


なのに今は違うんだ。




「会わないのは、最後に会った日の別れがあまりに辛かったから。

 譲が頑なになっているのも同じ気持ちなんだと思う。お互いトラウマになってるんじゃないかな」




一世と秋緒さん。

この二人の前なら少しくらい弱音を吐いても許されるだろう。





「あんな風に心が切り裂かれるような想いを何度も繰り返すのは辛すぎるよ、」





開いた心の扉から漏れた私の気持ちに、二人は私以上に切ない表情をしていた。





「今に拘る必要ないと思うの。譲も理解してくれてると思う」

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