第295話

二つの心は確かに繋がっていた。



掌から未来の欠片が零れ落ちていたのかもしれないけれど、何が最善か計れない今は無理に拾い集めない。


最後に残った物が定められた未来だと思うことにしようと思った。





渚との再会が "いつか" のお伽話だとしても、この瞬間の俺達はずっと生き続ける。






「お前大学出たら何になりたいとかあんの?」


「えー… 分かんない」


「お気楽な学生だな」


「じゃあ譲は?ずっと歌手やってくの?」


「えー…、そんなの分かんねえな」


「お気楽な歌手ね」


「学生のお前と同じ土俵にあげんなっ」


「あははっ、確かにね」





今は今。


未来は未来。





今の俺らは先を見すぎたって浮ついて足元を掬われるだけ。


未来の為に今を生きるんじゃなく、今を生きた結果が未来にある。




それさえ忘れなきゃ、必死こかなくても俺達の未来はきっと明るい。





「ずっと歌やってるかは分かんねえけどさ」


「うん?」


「渚の兄ちゃんみたいに、お前を養える程度に稼ぎ続けられたらそれでいいわ」


「知ってた?私って浪費家なんだよね」


「オジョーだからな。しゃあねえな」


「しっかり働きなね」




自分の隣で渚が笑う。

そんなささやかな未来を信じた時間だった。

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