第294話
最後の夜は逃げるように時が過ぎたけど、首都高の電光掲示板に光る事故渋滞の文字が俺らの時間を引き延ばそうとしていた。
「混んでんなぁー…」
ナビに映された地図上の道は赤の点滅が伸びていて、目の前には数えきれないほどのテールランプが続く。
いつもは毛嫌いする渋滞だけど、今日に限っては俺らに残された少ない時間を引き伸ばしてくれてるみたいで悪い気はしなかったんだ。
「抜けるの時間かかるぞ。大丈夫か?」
「へーき」
煙草を取り出し、窓を少し開けると、排ガス混じりの風が車内に吹き込む。
「案外嫌いじゃないんだ、渋滞って」
「……出たよ、変人」
「時間の流れがゆっくりで無になれるでしょ。それって生きてるって感じががするんだよね。
それに今日は渋滞のほうが良いよ。ゆっくり帰れるほうが嬉しい」
……俺と同じこと。
清々しい顔して言いやがる。
その横顔を見て、煙草を咥えた口元が緩んだ。
「俺も同じこと思ったよ」
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