第261話

だんまりだった私に梃子摺りさっきまで苛立ちを見せていた刑事達は、態度を軟化させて深かったはずの眉間のシワは行方不明に。




「これで罪を償ったと思えばいい」


「今まで通りの生活に戻れるから」





安っぽい台詞を並べては恩着せがましい態度を向けてくる。

愛想笑いの一つでもすればよかったんだろうけど、ムリ。



若い刑事はそんな私の態度が気に食わないと言わんばかりに机を勢いよく叩き、威圧的な態度を見せた。




「これからはもっとまともに生きろよ」




捌け口のない苛立ちがあるのか。

こっちを見る目をギラつかせていた。




「世の中の美味しいとこだけ味わって生きてきただろ。大人なみに器用に生きて、裁かれもせず、罪の意識もない。

いつまでもそんな風に上手く泳いでいけると思うな。どんなに着飾っても、コネがあっても、腐った人間には変わり無い」




別に何とも思わない。

開き直りと言われればそれまでだけど、こんな状況で何を言われたところで響くものは一つとしてない。



でも、どうしようもなく胸に引っかかる。





「…―――それって、いけないことですか?」





心のままに訊いていた。




目の前にいる大人達は言葉を忘れたように口を噤み、呆れた様子で私を見下ろしていた。





見覚えのある目。

色の違う人間を軽蔑する眼。





そう―――…、あの街にはこんな視線が溢れてた。

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