第260話
それから2時間ほどが過ぎたころだった。
私が彼らの欲しがっていた情報の一部を口にしたのは。
様子から察するに大方目途はついていたようで、金田という存在が脳裏によぎった。
頑固さなら負けない自信があるし、長時間拘束されて判断が鈍ったわけでもない。
誰かが捕まれば街は変わると正義感が芽生えたわけでもない。
身の置きどころを悟り、ここに十数時間座り続けてみても、過去を断ち切る意思表示はそれしか思いつかなかったから。
話したのは自分なりに考えての結果だったけれど、かき集めてみてもたったそれだけの理由しか私にはなかった。
話したところで実際は何も変わらないだろう。
トライアングルの上にいる人間は痛くも痒くもないと思う。
クリーンな身になれるとも思ってないしリスクの方が大きいことも解っている。
自己満足に過ぎないとしても、それでも自分は以前とは違うということを示したかった。
目を閉じれば浮かんでくるたった一人の男の為に。
裏の世界には、そこなりのルールが存在した。
口を開いた代償がどれほどのものなのか予想はつく。
あの人達は決められたルールに忠実に生きていた。
ある意味では今目の前にいる連中なんかよりも誠実だった。
今さら誰かに守ってもらおうなんて思わない。
自分なりに覚悟を決めての決断。
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