第248話

一世と秋緒の二人に付き添われる形でタクシーは俺のマンションのエントランスの前に。

秋緒は柔く微笑んで車の中から手を振り、一緒に車を降りた一世は清々しい表情で俺を見る。




「取り合えずお前今日のリハ休めよ」


「でもっ、……」


「今まで尻ぬぐいさせて悪かったよ。俺今日は行くから。皆には上手く言っとく」


「お前の次は俺がバックレんの…?ライブ直前にやることかよ」


「だってやらなきゃいけねえ事あんだろ?渚のたった一つの頼みぐらい聞いてやれ。」






ライヴが差し迫った状況で入れ替わりで俺までリハを抜けるなんて普通じゃない。

そんじゃそこらの理由じゃ通用しない。

ていうか、どんなに嘘をかき集めたところで正当化する理由なんてあるはずない。



コイツ昨日まで自分が行方不明者扱いされていたことをすっかり忘れてるんじゃねえか…。




「オメーよぉ。自分のせいで日程ヤバイって自覚してる?」



呆れて聞いたものの、口元をを引き上げて余裕ぶちかましたような清々しい顔る。

どこまでもうぜえ。






「わたし渚ちゃん好きだよ。次は4人でご飯行こうね」




タクシーが走り去る直前に秋緒が窓を開けて言った。


その光景が心に浮かんで心が穏やかだった。






だから大丈夫。

乗り越えられるって確信があったんだ。

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