第247話

渚の笑った顔。

感情を出して怒った顔。

泣きながら俺に抱きついた感触。


俺の知ってる渚の姿が次々と溢れ出す。





…―――泣きそうだ。







「あぁ―――…、俺も…そう思う――っ…」







脆く崩れた理性。

不安定な心が露になる。






一世の的確で温かい言葉は俺を救った。


涙に気づかれたくなくて窓の外に顔を向け、目頭を押さえて必死で緩んだ涙腺を止めた。







涙は辛うじて止まっても緩んでしまった心は塞ぎようがなくて。

溢れだした言葉は心の叫びでしかなかった






「逢いてぇよ――… アイツに逢いたい――っ……」





そっと伸びた秋緒の手は包み込むように俺を撫で、一世は見ぬふりするように顔を窓に向けた。




また涙が溢れた。

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