第244話

出逢って間もない頃の人を寄せ付けない言葉の数々。


学生では考えられない羽振りの良さ。





考えれば考えるほど、思い出せば思い出すほどつきまとう影。

性格が悪いとか、親が放任してるとか、お嬢だからとか、理由づけをしていた自分が情けない。




本当の怒りの矛先は刑事じゃなくて自分だった。






どうしようもなく苛立ったのは、心のどこかで自分も渚に欺かれた一人のような気がしたから。





白でもなく、黒でもない。

グレーの感情しか抱けない自分との葛藤。



きっと渚はそんな俺を許すだろう。


あいつは俺以上に俺を理解してた気がするから。








「――私ね、あの街で悪いこと沢山してきた」



「もしもの話。何かあった時は私を切り捨てられる男でいてほしい」



「地に足を付けて、二人一緒の未来が描けなくなった時は自分の未来だけを真っ直ぐに見てほしい。

お互いに自分の未来だけを見ていても、私達にはいつかきっと重なった未来があるから」







切り取ったように浮かぶ渚の言葉。

「約束ね」と笑いかける笑顔。



いつかくるこの瞬間を見越していたんだとやっと知る。



俺を守る為の約束。

どんな想いを込めたのか考えただけで胸が痛む。





誰よりも近くにいたのに何も気づかなかった俺は、渚の瞳にどんな風に映っていたんだろう。

酷く頼りない男だっただろうと後悔しかない。

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