第243話
「―――っ…ふざけんなっ―――」
俺がこんな風になるのをきっと渚は望んでいなかった。
一晩限りの相手。
その言葉の通り、冷静に距離を置いて振舞ってほしかったんだろう。
それでも我慢できなかったは、愛してたから。
どんなあいつも受け止める覚悟があったから。
「仕方ねぇよ…俺らじゃどうしようもない」
一世が俺を気遣うなんてらしくない。
情けなくて、もどかしくて目頭が熱くなった。
悔しい。
渚を覆う影に気づいてやれなかったことが。
約束したのに引き上げるどころか手が離れてしまったことが。
街の華やかな部分だけに目を向けて魅せられていた自分。
こんな街に埋れて日頃の鬱憤を発散させていた自分。
一方にしか目を向けられないのがどれほど愚かな事なのか。
此処にいる全員が同じように感じていたのかもしれない。
何を言っても、何を想っても。
この現実を受け止めなければいけない今は自分を偽善者だとしか思えない。
刑事が言ったことは嘘。
渚が連れて行かれたのは何かの間違い。
そう言いきれるほど渚の全てを知りつくしている確信がなかった。
そう―――、思い当たる節は確かにあったんだ。
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