第233話
タイムリミットを知らせるように渚は車に乗るよう促され、かろうじて止まっていた時間がまた動き出す―――――。
「―――っ待てよ! ごめんじゃ分かんないっつーの!!」
激流に呑まれるまいと抵抗することばかりを考えて、流れに身を任せる賢さはなかった。
そんなものクソ食らえだと無意識に閉じ込めていたのかもしれない。
渚の穏やかな表情の意味さえ気づかず。
渚を失うかもしれないという今目の前にある現実だけに心を奪われ、不安と恐怖に完全に支配されていた。
濃いガラスフイルムにカーテンが取り付けられた車。
仏頂面でハンドルを握る運転手。
そこには渚がいる。
「……れちまう―――… 渚が溺れちまう……」
咄嗟に車を追いかけると、残っていた刑事二人が目の前に立ちはだかり、俺の行く手を塞いだ。
現実を消化することから始めなきゃいけなかったんだ。
こんな状況で正気じゃいられる方がどうかしてる。
「…――っどけよっ―――、!!」
受け入れられず、許せなくて、どうしようもなく苦しくて自分をコントロールできない。
渚が何より避けたかった結末を見せたのは俺だった。
あいつが涙を呑んで俺を守ろうとしたのに、俺はそれに応えられなかった。
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