第37話
「タイミングの問題だろ。また来ようぜ。何度だって付き合うから。お前が納得するまで付き合うから。んなヘコむなよ」
ご機嫌を取りでもするかのように髪を撫でてくる。
この状況で笑ってくれる譲が頼もしかった。
普段の何倍も男らしく見えた。
寄り掛かっていいんだって思わせてくれる男が傍にいる幸運。
当たり前だと思わないように過ごさなきゃいけないと思った。
そう簡単にいくわけはない。
予想通りの現実を噛み締めながら譲の胸に額を当てて暫く動けずにいると、包み込む譲の腕の隙間から黒塗りのリモが視界に入った。
スモークで覆われた存在感たっぷりの高級リムジンは一際目を引く。
無意識に二人して目で車を追っていた。
そのままリムジンはゆっくり私達の前を通り過ぎ、ブレーキランプの光と共にホテルの入り口の前に横付けされた。
「どんな奴が乗ってんだかな」
「きっとお金持ちのイケメンね」
「イケメンか確かめに行く?」
「興味ない」
「もしかして、もしかすると俺よりイケメンかもよ?」
「もしかしなくても譲より男前なんてごまんといるじゃない」
「お前ほんと可愛くねえっ!」
自らふっといて過剰に反応しないでほしい。
バカだな。
ほんと天然バカ。
でも今日は私の気持ちを和ませようとしてくれてるのが分かるから。
どんな状況でも口元が緩んじゃう。
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