第36話
パーキングに車を停めてホテルの入り口へ。
夜だというのにスーツケースを持った観光客がエントランス付近に集まっていて落ち着きがない。
「で、そのドアマンは?」
辺りを見回したけど、それらしき人はいない。
前に会った時に立っていた場所には違うドアマンがるし。
諦めれずホテルの中を覗いたり、探し歩いてみたけど、やっぱり探し人はいない。
「居ないみたい……」
「居ねーのっ?!」
「きっとシフト制だよね。いつでも立ってるわけないか、」
「まあ、そうだろうけど」
「手がかり――、見つかるかと思ったのにな」
思い込みで突っ走ったところもあるし、そこまで期待を膨らませていた訳じゃない。
だけど少なからず縋るような気持ちはあった。
お兄ちゃんが出て行ってからもう六年。
私はもうお兄ちゃんが家を出た歳を越してしまった。
記憶の中のお兄ちゃんは私より年下で。
お兄ちゃんの中の私も、きっとまだ中学生のまま。
二人とも生きてるのに。
同じ空の下で呼吸してるのに。
こんなのおかしい。
今更涙なんて零れない。
けど、俯いた顔を上げられない。
ネックレスが重い。
「なぎさ……」
溢れだしそうな感情を隠すように譲が自分の胸に私を収める。
それでもやりきれなくて無意識に下唇を噛み締めていた。
優しく包み込む譲に救われた。
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