第34話

「ミノブ君に謝っといてね。ドタキャンさせちゃったから」


「アイツのことだから飯でも奢ればすぐ忘れるって」


「それはいいけど……」


「気にすることねえよ。今日の代わりは無い気がするから」


「野生の勘?」


「第六感だっつーの」





夜の街のバーガーショップ。


店内には遊び足りないと言わんばかりに明らか中高校生であろう若い子達が楽しそうにお喋り。

その中にスーツ姿のサラリーマンが混じってコーヒーに手を伸ばす。



今までの私達なら無縁だった光景。


馴染み深い夜の街なのに。

いつもは足を踏み入れないこっち側の世界では妙に浮いて見えるのは私達の方だ。




「そろそろ行くか?」



食後の一服を堪能していた譲が灰皿に煙草を押し付ける仕草を合図に賑やかな店内を後にした。




コインパーキングに停めていた車に再び乗り込み目的地に向かう。

走り出して少しすると見覚えのある道に出た。



「あん時の俺、この道めっちゃ走った」



チラッと横目でこっちを見て、親指が窓の外の景色を指してボソッと呟く譲。



嫌味くさい。

面倒くさい。

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