第33話

「で?あの因縁のホテルに行きたい理由を聞かせろ」




お礼も言わずに私が運んだペプシ片手にふんぞり返った態度にはあえて触れず、こないだホテルに行った時の記憶を呼び起こした。



「お兄ちゃんに辿り着く手がかりがあるんじゃないかって、ちょっと気になることがあったの」


「へ?兄ちゃん?」



バーガーにはまだ手を付けないまま。

眉を吊り上げたビックリ顔で私を見た。


兄というワードを出した途端、譲の態度は軟化。



ドアマンのおじさんと話した時のこと。

大切な言葉を落とさないようゆっくり記憶から取り出す。



「子供の頃の私を知ってるドアマンの人がいてね、〝 最近お兄様も――― 〟って言ったの。そこで会話途切れちゃったんだけど」


「へー」


「へーって……。聞く気あんのアンタ?」


「あるって。要するにそのドアマンのおっちゃんの所に行って話聞けばいいんだろ?」


「そうだけど、」



そんな簡単そうに言われても……。

私の頭の中は譲が思ってる以上に複雑なんだけどな。



「今あれこれ考えても仕方ねえって。だから取りあえず目の前物を片付けろ」



そう言ってストローでペプシを凄い勢いで吸い上げ、分厚いバーガーを美味しそうに頬張る。

呆気に取られて見ているとお前も早く食えと促され、仕方なくフォークをコブサラダに突き刺した。

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