第5話

「何やってんの?」



リビングのローテーブルで課題を仕上げていると、シャワーから出てきた譲が背後のソファに勢いよく体を預ける。


目の前にいる私が課題をやっているというのビールを片手に遠慮の欠片もない。



「民俗学の課題」


「ミンゾクガクってなに?」


「説明しても労力の消費にしかなんないから訊かないで」



背を向けたままキーボードを打っていると頬をつねられる。


わりと手加減しないのがこの男だ。

右頬が普通にヒリヒリして痛いんだけど。



「お前親と顔合わせてんの?」



今日みたいに譲の家にいることが増えた。

そんな私を少し気遣うように譲が訊く。


けれど私をこの家に入り浸りにさせてるのはこの男だし、今更な問いかけだとは思う。



「たまーにね。私も親も着替えに帰るだけだし」


「掃除とか洗濯は?」


「家政婦さんがやってる」


「だからお前ここに居ても何もやんねえのか」



あからさまに納得されると何かムカつく。



確かにここでも自ら家事や料理はしないし、求められない。

使った食器は自分洗って、たまに気が向いたら掃除機をかけるレベルだ。


それでも生活感のないこの家は十分綺麗に保たれてる。

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