第6話 よしだ駅

知人の娘さんが高校生になった。

私は彼女が小学生だったころから若干の面識があった。

と言っても挨拶と一往復二往復程度の会話をするくらいではあるが。

非常に賢かった彼女だが、やはりと言うべきか地元を出て隣の市の進学校に通っているようだ。

たまたま帰りの便が一緒になった為、気づかないフリも大人げないだろうと挨拶をした。

面識があるとはいえ世代も違う人間だ、離れた座席に座るだろうと思っていたが予想に反して彼女は私の隣に腰を下ろした。

人見知りな私だ、少々困惑したが彼女は親戚にでも話しかけるように雑談を始めた。

他愛もない話だ。

一年生のうちは自宅から列車で学校に通い、二年生になり学校生活に慣れたら隣市に住む姉の家に居候させてもらうとか、部活は陸上をやっているとか、そんな話だった。


ふと、学校で…と言うよりも彼女の周りで最近流行っているものの話題になった。

私もそれなりの歳になった。若者の流行にはもう疎いと言って差し支えないだろう。

だが、ついていけないだけで興味を失っている訳では無い。

なるほどなるほどと話を聞くと、SNSやそこに投稿する人気インフルエンサーを教えてくれた。

彼女の友人の中には動画を撮って投稿する者も少なくないと言う。

顔出しは危なくないのかいと言いたい気持ちもあるが、説教めいた言葉は嫌われるという自覚もある。ぐっと飲みこんで相槌を打つ。

すると彼女はスマホの画面を見せてくれた。

どうもその友人の投稿した動画らしい。

「肝試しをしてみた」という若者らしいものだった。列車の中だ、音は出せないので夜にでも見てみるよと最近のカルチャーを教えてくれた彼女にお礼を伝え最寄り駅で別れそれぞれ帰路についた。


いつの時代でも「肝試し」なんてものは無くならないのだなと若かりし頃を思い出す。

そしてその直後、彼女の教えてくれた動画の探し方が分からず老いを思い知った。

適当に検索欄に「肝試し」や付近の地名を入力し調べてみることにした。


あの動画には流石にたどり着けなかったものの、それとは別に興味深い動画を見つけた。

どうもこの近所で、と言っても田舎の近所だ、車で10分〜20分であっても十分近所にあたる。を中心に肝試しや怪談といったホラーなコンテンツを投稿しているアカウントを見つけた。

こういったSNSで地元の馴染みある風景や地名を見たり聞いたりするのは新鮮なものだ、と私はそのアカウントをフォローすることにした。


とりあえず明日も仕事だ、早く寝なければ。動画を1、2本観たら寝ることにしよう。

私は投稿された動画からふと興味を惹かれた二つの動画を再生することにした。



「降霊術について話してみた」「人工的に幽霊を作る方法を考えてみた」

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