第5話 うびい駅
田舎には得てして自然がある。
自然しか無いということでもあるが。
この駅は山の中にありつつも、駅から向かい一面に広がる海が一望できるという隠れた名スポットでもある。
山から吹き下ろす風と海風の影響なのか、時折強い波が立ち季節を問わずサーファー達が遠征に来ているとも聞いている。
真冬の早朝でも構わずウェットスーツだけで水面に浮かぶ彼ら彼女らを見ているだけでこちらが寒くなってくる。
さて、この駅も言わずもがな無人駅だ。
しかし、最近建て直しがされたばかりで小さいながらも小奇麗な佇まいとなっている。
と言うのも、海に面する山だけあって地盤は非常に緩い地質らしい。
また、風の通り道と言うべきか夏場になると台風の被害が毎回大きいという。
そのせいもあり、一昨年前に非常に大きい地滑りがあった。
勿論本駅はおろか、付近にあった飲食店をも巻き込んだ災害だったようだ。
とは言え、名スポットではあるものの隠れているだけあり近隣にはそれほど民家も多くなく、飲食店も観光客やサーファー向けの一軒だけ。しかも台風ということで従業員もお客さんもいなかったようだ。
奇跡的と言えば聞こえはいい。
なんだかんだ地元民やサーファーには愛されていたお店らしく、常連客やサーファー・ニュースを見かけた有志達の支援もあり、このお店は数か月後にはリフォームされ経営を再開した。
今も変わらず、皆に愛されるお店として賑わっているようだ。
災害を乗り越え、再起する物語。まさに美談である。
そう言えば地滑りが起こる数日前、台風の前兆だったのか海が荒れている時期があった。
サーファー達にとっては念願適ったりであろう。
地滑りの前後で、3名の観光客が行方不明になったというニュースを見た。
彼らのその後は、未だニュースになっていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます