第7話 探索方同心
本業は
道太郎たちはその全員に大切な
「このお方は命の恩人だ。今日から
勝五郎の言葉に子分たちは「へい!」と
子分たちの目が道太郎より吉乃に
勝五郎にはさえという十八の娘がいた。吉乃と暮らすことになり一人娘のさえは妹ができたとばかりに喜んだ。
さえは吉乃に
しかし、道太郎はいつまでも勝五郎の世話になるわけにはいかないと思っていた。刺客との戦いに巻き込む恐れがあったからだ。
道太郎は単独で空き家などの
「
「はっ、船を降りてからの日数を考えますと既に江戸には入っていると思われます。ご配下の方からの知らせは
鬼蔵は見失った責任を
「どこぞへ
大久保は吐き捨てるように言った。
「それより二人が上様と対面するようなことがあったら、
大久保が
「
茅野は冷たい視線を投げた。
大久保は以前より茅野には
娘を吉宗の側室につかせる際にも
だが
「それしか方法がないのであればやむを得ぬ。鬼蔵、今後は茅野の指示に従え。ただし
それだけ言うと大久保は席を立った。茅野はまたしても己のみの責任において事をなすのだと確信した。
大久保がいなくなると茅野も立ち上がり、去り際に鬼蔵を
「父娘だけ殺していては逆に目立つ。無駄な殺しもなくては
三日後、一夜にして五件の殺人事件が起きた。そのうちの二件は
いずれも金銭を取られており、南町奉行所では
そんな噂を聞きつけた加納久通は数馬を伴って
「加納様、
突然の訪問に大岡が尋ねた。
「市中で二組の父娘が殺害されたと耳にしましてな」
加納は
「確かに報告は受けておりますが、
大岡は後ろに控える数馬をちらと見た。
「さよう、実はこれに控える香月数馬もまた江戸入りした父娘を捜しております。子細は上様にも関わることとだけ申しておきます」
上様という言葉に大岡は身を引き締めた。
「そこでこの者に自由に
大岡は
「されば
「かたじけない大岡殿、今は言えぬが後日
加納は礼を
かくして数馬は同心として
だが正規の役人ではないことを
数馬は江戸の町を知らぬため、昼間は定廻り同心に同行して江戸の事情を学び、夜は単独行動を取ることにした。
昼間に江戸入りした父娘の情報を得ると、夜はその
加納久通は江戸入りした父娘が殺された事件で、道太郎たちを狙った刺客の犯行ではないかと思った。
(
そう考えながらも刺客の存在が信じられなかった。
いつまでも刺客を差し向けて己の地位を
加納は道太郎が江戸に着いたならば真っ先に訪ねてくると思っていた。
それが一番安全であり、吉宗に姫を会わせる近道であったからだ。されどそうしないのは
加納には理解できないことばかりだった。
勝五郎一家の世話になって
裏通りの
大家は
道太郎の所持する金は
そこで大久保家を得意先とする
主人が大久保家に出向く時は必ず護衛に付き、先方では忍びの出入りなどを探った。
小田原で
道太郎は
そうして無事に
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