中国と南米の貿易が密に。【次の時代は資源国が鍵を握る】

[ブエノスアイレス/ブラジリア/北京/ワシントン 3日 ロイター] - リバタリアン(自由至上主義者)として知られるアルゼンチンのミレイ大統領は2023年の大統領就任時に中国を共産主義の「暗殺者」と呼び、対中関係の見直しを示唆していたが、実際にはミレイ政権の1年目にアルゼンチンは大豆やリチウムなどの対中輸出が15%も増加した。


本来は米国の同盟国であるアルゼンチンのこうした実利重視の政策転換は、トランプ米大統領の対南米政策の課題を浮き彫りにしている。豊富な天然資源を抱える南米諸国では近年、コモディティー(1次産品)ブームを追い風に中国の影響力が高まっている。


一方でトランプ政権は脅しや関税をテコに貿易相手国に対して米国の利益になるような条件を飲ませようとしている。既にコロンビア、パナマ、メキシコに譲歩を求めたほか、ブラジルも鉄鋼に対する新たな関税措置の標的となっている。

しかしロイターが取材した政府関係者や外交筋、貿易専門家など6人は、巨大でなお拡大している中国の貿易面での優位性によりトランプ氏の政策は効果がそがれていると指摘した。これは経済上のライバルが世界的に増える中で米国の懲罰的なアプローチが限界に達しつつあることを示している。


ブラジルのルラ大統領に近い高官は、同国経済は米国に依存しておらず、昨年の貿易収支が300億ドルの黒字となった中国の方がはるかに重要だと述べた。また、トランプ氏による関税の脅しは、米国が長年にわたりブラジルを軽視してきた末に打ち出した政策であり、各国はよりリスクの少ない選択肢として中国や欧州、BRICSなどとの関係を模索するとの見方を示した。米国と違い中国は「実利的なパートナー」であり、「ビジネスをしに来ている」とも語った。


ブラジル、チリ、ペルー、アルゼンチンといった資源大国がけん引する形で南米諸国は対中輸出が過去10年間で2倍以上に増加した半面、対米輸出の伸びは小さいことが、ロイターの貿易データ分析で明らかになっている。低成長と高債務に苦しむ南米の指導者にとって中国の巨大市場は極めて重要であり、たとえ政権のイデオロギーが異なろうとも、南米において中国のソフトパワーは強まっている。


<近所のいじめっ子>

ルビオ米国務長官は1月下旬、コロンビアなど南米諸国が中国に接近するリスクについて「馬鹿げている」と一蹴。トランプ政権は短期間で成果を上げたと主張した。トランプ政権は関税をちらつかせてメキシコを交渉の場に引き出して貿易協議に応じさせ、国境警備のための軍隊派遣を約束させた。また、重要な貿易ルートであるパナマ運河を取り戻すと宣言。パナマは中国の「一帯一路」インフラ計画からの離脱を決めた。


ワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のディレクター、ライアン・バーグ氏は、トランプ氏はむしろ中南米を重視しており、スペイン語を話すルビオ氏が初の外遊で同地域を訪問先に選んだと述べた。

米下院中国特別委員会の民主党トップ、ラジャ・クリシュナムルティ議員は、米国は「近所のいじめっ子」にならないよう注意すべきだと語った。「なぜなら、いじめっ子に何が起こるかは明白だからだ。人々はいじめっ子に立ち向かうのだ。それはわれわれの長期的な国家安全保障上の利益にとって極めてマイナスな形を取る可能性がある」と危惧を示した。


<急成長するコモディティー輸出>

中国は南米全体で貿易面の優位性が一段と大きくなっているが、その原動力となっているのが穀物や銅、リチウムといった重要資源だ。米国はこの面で依然として中国をリードしているものの、その差は縮小している。

10年前に銅の主要生産国であるペルーの最大の貿易相手国は米国だったが、今では断トツで中国がトップだ。中国はペルー産の銅を大量に輸入し、両国間の貿易を加速させるためペルー沿岸に巨大な港を建設した。ペルーのアリスタ前経済相は「米国が関税を導入してもペルーにとっての影響は最小限にとどまるだろう」と予想した。


アルゼンチンは米国寄りのミレイ氏が政権を握っているが、やはり中国の影響力は強い。中国はアルゼンチン産の大豆と牛肉の最大の輸出先で、昨年はアルゼンチンのリチウム輸出の約3分の1が中国向けだった。ミレイ大統領の側近は昨年末、「中国と協力することがアルゼンチンの国益に最もかなうのであれば、何の問題もない」と発言している。

コロンビアは米国との貿易関係がはるかに緊密だが、それでも2023年末には中国との外交関係を「戦略的パートナーシップ」へと格上げした。またパナマは2021―23年にかけて中国への輸出額が米国向けを大幅に上回ったものの差は縮小しており、しかもパナマ運河を巡り米国との緊張がくすぶり続けている。


<中国に追い風か>

米国と南米諸国は歴史的に近い関係にあり、文化的にも共通点を持っている。しかしそれにもかかわらず中国は貿易面で本来的に優位性を持っている。

中国と南米の関係は移民の移動や犯罪、麻薬といった問題に左右されず、開発段階の中国では南米産コモディティーの需要が高まることから経済的な相性も良い。


ルビオ米国務長官の中南米歴訪後、中国外務省は珍しく米国の対中南米政策を非難する声明を発表。米国は中国と中南米諸国の間に「不和」を生じさせようとしていると批判し、中南米地域と中国との協力関係の深まりは「不可逆的な流れ」だと強調した。

広東国際戦略研究院のリ・シン教授は、トランプ氏の強硬な外交姿勢は中国にとって有利に働くと指摘。「米国とその同盟国の間に混乱が生じるほど、中国にとって好都合だ」と述べた。



(*´Д`) 時代が米国を望んでいない。



[ロンドン 7日 ロイター] - 欧州株に投資資金が流入している。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のEPFRデータを引用した7日の発表によると、3月5日までの1週間に41億ドル流入し、ロシアがウクライナ侵攻を開始した2022年2月以来最大の資金流入となった。


過去4週間の流入額は120億ドルとなり15年8月以来の高水準となった。

株式ファンドは229億ドルの流入。米国株に85億ドル、新興国市場に24億ドルそれぞれ流入した。


テック株ファンドは26億ドルの流入で5週間ぶりの流入となった。

テック株は今年、出遅れている。ナスダック総合指数(.IXIC), opens new tabは6日、昨年12月の高値を10%以上下回る水準で終了した。

BofAのストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、アップル、マイクロソフト、エヌビディアなどのビックテック7銘柄「マグニフィセント7」は今や「ラグ(lag=出遅れ)ニフィセント7」だと述べた。


債券ファンドには120億ドル流入したが、国債は12億ドルの流出だった。




中国のテクノロジー大手7社の株価が今年に入り4390億ドル(約65兆円)相当値上がりし、かつて無敵に見えた米ハイテク大手7社「マグニフィセント・セブン」を圧倒している。多くの投資家は中国勢にはさらに上昇する余地があるとみている。

  アリババグループやテンセント・ホールディングス(騰訊)など中国7社を加重平均で組み合わせたバスケットは、年初来で40%余り上昇。ソシエテ・ジェネラルはこの7社を「7タイタン(巨人)」と呼んでいる。


  一方、マグニフィセント7を束ねた株価指数は約10%下落。ナスダック100指数の調整局面入りが迫る状況となっている。


   こうした米中ハイテク銘柄の逆転劇は、ウォール街ではほとんど想定されていなかった。今年に入ってもナスダック100は最高値を更新し、中国の株式市場は依然として長年にわたる規制強化と消費持ち直しの鈍さに苦しんでいた。


  しかし、中国の人工知能(AI)スタートアップ DeepSeek(ディープシーク)が、AIセクターにおける中国の躍進を示すと状況が大きく変わり始めた。


  ディープシークはAIで中国が米国に追い付くには何年もかかるだろうというこれまでの認識を覆し、中国のハイテク株が急伸。長年の中国懐疑派でさえ楽観的になりつつある。


  ソシエテ・ジェネラルはアリババとテンセントに加え、小米と比亜迪(BYD)、中芯国際集成電路製造(SMIC)、JDドットコム、ネットイース(網易)の7社を時価総額と成長軌道に基づいて7タイタンとして選定。


  フランク・ベンジムラ氏率いるストラテジストチームが発表した2月28日のリポートによれば、7タイタンのバスケットは現在、予想株価収益率(PER)が18倍で推移。これはマグニフィセント7より40%余り割安な水準だ。


  サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「ディープシークの成功に続き、中国から一連のAIモデルが発表され、米国による半導体の対中輸出制限にもかかわらず、中国のイノベーション能力を過小評価すべきではないと世界に再認識させた」と指摘し、「中国AI銘柄の勢いは、評価額の低さを考慮すると、まだ伸びしろがある」との見方を示した。


  7日の香港株式市場では、中国のハイテク銘柄から成るハンセンテック指数が一時2%を超える上げとなった。その後は下げに転じている。



(*´Д`) 覇権国がその地位から転落する際、共通することは以下の点。

https://www.smd-am.co.jp/market/shiraki/2025/devil250116gl/


歴史は繰り返す?覇権国の衰退パターン

■米大手ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ社の創業者で元共同CIOのレイ・ダリオ氏は、その著書「The Changing World Order(変わりゆく世界秩序)」の中でローマ帝国以来の世界史を振り返り、「時の覇権国はそろって同じような衰退パターンを辿ってきた」と分析しています。


■ダリオ氏は、「覇権国はその繁栄の絶頂期に基軸通貨の強みを活かして世界中から資金を集め」、「巨額の出費で圧倒的な軍備を構築し」、その一方で、「国民に豊かな暮らしを提供するため世界中から膨大な物品を買い集める」、としています。


■その結果、覇権国はもれなく、

①巨額の財政赤字と貿易赤字を抱え、

②そのファイナンスのために貨幣を大量に発行し、

③無理なファイナンスの弊害が露呈して経済的な苦境が深まり、

④貧富の差が拡大して国内の分断・内乱を抱えつつ新興勢力の挑戦(戦争)を受け、最終的には、⑤経済的に破綻して基軸通貨の発行国としての地位を失うことで、

覇権国の座から引きずりおろされる」、と指摘しています。


■こうした分析は、現在の米国に良く当てはまるように見えます。①貿易赤字と財政赤字の所謂「双子の赤字」に苦しみ、②巨額の国債発行により世界中から資金をかき集め、③リーマンショックなどの経済危機を乗り切るため大規模な金融緩和を繰り返し、④貧富の拡大から国内では分断が進む中で、中国などの新興勢力の挑戦に直面しています。



2. 「アメリカ・ファースト」の真意

■米国はダリオ氏のいう「覇権国の衰退パターン」に既にはまってしまっているように見えます。そして、改めてトランプ氏の政策を確認すると、その多くが「老いる帝国の衰退」を食い止める処方箋となっていることに気づかされます。


■トランプ氏の経済政策は、①規制緩和や減税で米国経済の成長力・競争力を高め、②関税による国内産業の振興や資源エネルギーの増産・輸出により貿易赤字を削減し、③同盟国に応分の防衛負担を求めることで軍事費・財政負担の軽減を図り、④大胆なリストラ策で知られるマスク氏を起用して大幅な財政赤字の縮小に取り組む、としています。更に、⑤覇権に挑戦する新興勢力である中国に対峙し、⑥将来的に米ドルにも対抗できる準備通貨の候補として仮想通貨に注目し、他の主要国に先駆けて米国の金融・経済システムに取り込もうとしています。




■トランプ氏はこれまで、「米国を仮想通貨の首都にする」と明言し、仮想通貨の規制緩和を掲げ、そうした政策に消極的な米国証券取引委員会のゲンスラー委員長を退任に追い込み、さらに、国家の準備資産として仮想通貨を保有することで自国の経済システムに深く組み込み、米国の基軸通貨発行国としての地位を維持しようとしているように見受けられます。



3. 「とんでも発言」に見るトランプの国家戦略

■トランプ氏が「カナダの併合」「グリーンランドの割譲」「パナマ運河の奪還」について言及し、その実現には軍事力の行使も辞さない(“Would not rule out the use of military force”)と発言したことで、関係国に衝撃が走っています。こうした一連の発言について、その道徳的な是非はひとまず置くとして、そこには一貫した国家戦略や経済安全保障上の動機を垣間見ることができそうです。


カナダ併合発言の真意

■カナダは政治経済の両面で米国と極めて密接な関係にある隣国で、その規模は人口約4,000万人、GDP約2.1兆米ドルとなっています。ちなみに、米国がカナダ全土を一つの州として併合すると、GDPではカリフォルニア、テキサスに次ぐ3位、人口では全米最大のカリフォルニアの3,900万人を上回り最大の州となります。



■そんな、米国から見れば決して大きくないカナダは、石油埋蔵量で世界第3位、天然資源の輸出額では世界第1位の資源大国です。2023年の米国の対カナダ貿易赤字は約748億ドルにのぼり、日本の約715億ドルを上回る世界4位の規模に達します(図表3、2023年時点)。つまり、米国はカナダを併合することで、巨額の貿易赤字を削減することができるということになります。



■豊かな天然資源に恵まれたカナダは、米国も羨む世界でも有数の高等教育機関、充実した医療制度、寛大な年金制度を公的支出により維持しています。その一方、カナダの防衛費はGDPの約1.3%に留まり、同約3.4%を負担する米国と比べて極めて少額にとどまっています。こうして改めて見ると、「カナダは防衛費負担を米国に押し付けて、節約した税金で優雅に暮らしている」という米国人の恨み節が聞こえてきそうです。


■つまり、米国はカナダを併合することで、日本一国分に相当する貿易赤字を削減し、世界有数の豊富な天然資源を手に入れ、カナダ国民に応分の防衛負担を負わせることで米国としての財政負担が緩和する、といえそうです。



■こうした「カナダ併合へのインセンティブ」を更に高めているのが、気候変動問題です。というのも、地球温暖化により北極海の氷が大量に溶けだしたことで、①大西洋と太平洋を結ぶカナダ北岸の「北西航路」が航行しやすくなり、②未開拓の北極海周辺の資源開発のハードルが下がり、③同地域における通信設備を始めとするインフラの開発競争が激化しつつあるからです。



■カナダは世界最長の非武装の国境を米国と共有する同盟国ですが、日本やドイツのように国内に米軍基地は存在しません。米軍は「特定の条件下」でカナダ国軍の基地を利用可能とされていますが、カナダはこれまでも米国の軍事行動に全面的に協力してきた訳ではありません。例えば、ベトナム戦争には参戦せず、イラク戦争にも反対して派兵を拒み、対テロ戦争にも非協力的な態度を貫き、米軍のミサイル防衛構想にも参加していません。そして、戦略的な重要性が高まる「北西航路」の往来について、カナダは航路の一部が「自国の領海・内海」にかかるため、米国を含む諸外国に自由な航行を認めていません。




■トランプ氏の「カナダ併合」発言の背景には、「老いる帝国」の衰退を食い止めるための経済政策と、安全保障に関するカナダの「是々非々」な姿勢を問い直そうとしていることがあるのではないでしょうか。


その1 まとめ

米国がレイ・ダリオ氏の言うような衰退のプロセスにあるならば、トランプ氏の繰り出す一連の政策や発言はそのセンセーショナルな響きとは裏腹に、米国という「老いる帝国」の地位を維持するための戦略的で合理的な動きとすることが出来そうです。そして、「併合」という、あからさまで強力なメッセージを突き付けられたことで、カナダとしても経済面や安全保障面で最大限の妥協に追い込まれる可能性が高まっているように見えます。


次号「衰退する帝国のトランプ その2」では、トランプ氏によるグリーンランドやパナマ運河に関する発言に触れつつ、今後予想される日米の相互依存・互恵関係の深まりと、それに付随する投資機会について解説します。



(*´Д`) 筆者である俺は、22年の待つくらいからずっと言い続けてる。

米中で覇権国が入れ替わると。

SP500は衰退国の指数。オルカンの7割は米国でしかもドル建ての資産だ。

老後資産に全く適してないと。過去の歴史は必ずしも未来の栄光を意味しないと。


俺は本日までに、米債券ETF(社債、国債、モーゲージ債)、カバードコールETF(ヘッジファンド型)、米リートを除いた米株資産(ダウETFやSP500配当貴族)を処分した。もう米国株を長期で保有する価値がないと判断した。


金融庁の勧める新NISAでの積立投資、iDeCoの投資が実際はどうなるのか。

今から30年後、誰の言ってることが正しかったのか、いずれ分かることになる。


一つだけ言える歴史の法則がある。


大衆が「○○を買えば絶対に老後は安心だ!!」と言い張る時、それは常に間違っている。行列のできる大人気のラーメン屋さんの列に並んで食べる人は投資に向いてなく、誰にも見向きもされないが「時短」で食べられるそこそこ美味しいお店に並ぶ人が投資で勝てる。筆者は常にその法則を守って来た。


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