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君とはいつどこで知り合ったんだっけ?


覚えてないの?


全然覚えてないよ


去年の10月に2階東棟男子トイレ


うーん、記憶の片隅にもない。


ほんとに覚えてないのね。


男子トイレに君が?


あなたが死にかけだったから。


死にかけ?


そう。死にかけてた。


なんで?


詳しい事情は知らないけど、渡り廊下で授業サボっていたら叫び声が聞こえて、男子トイレの前まで見に行ったら、君が飛び出してきて、渡り廊下の柵を蹴りあげて中庭に背中から着地したの。


で、死にかけてたと


そう。死にかけてた。背中から着地して泡吹いて気絶


なるほど。全く覚えてないな。


覚えてないんじゃなくて覚えられなかったはず


どういうこと?


そのあと私があなたを助けようと中庭に降りて、あなたを背中に背負った時、酎ハイ臭かった。


僕は酔っ払ってたってこと?


半分はそう。もう半分は胸ポケットにある瓶の風邪薬


なるほど。その時の僕はODを酒でキメて発狂そして2階から背中で着地して気絶、死にかけた。


私の推測ではそれが正解。そんな状態では覚えてないのも仕方ない。


じゃあ、そのあと、どうやって先生にバレずに僕を処理したんだ。


救急車に電話した。


バレるだろ。


学校に向かわせる訳ないでしょう。近くの公園に呼んだの。


まさか公園まで僕を運んで、そこに救急車を呼んだのか?


そう。


それで僕は今こうして病院のベッドで頭痛と吐き気に苛まれながら生きているという訳か。


ご名答さま。


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