第3話

1話


10年前、強盗に家族を殺されてしまったレフは混乱して転がっていた怪しい液体を飲んで2階の窓から飛び降り自殺を図ろうとする。しかし体内から触手状態の茨が出てきて家ごと覆ってしまった。動けず怪我していたところ赤髪青眼の吸血鬼、アレクに助けられアレクの師匠の命令で同居しながら元に戻る方法を探すことになる。レフは茨から助けてくれた命の恩人でもあるがいきなり現れたアレクの事は信用していない。しかし薔薇の呪いを1人ではどうすることもできないのでアレクとの同居を嫌々認める事になる。


2話


レフはアレクが自分を助けたのは何か裏があるはずだと思い警戒していた。そしてなめられない為に吸血鬼の弱点を全部試してみる事に決めた。

ところが嫌がらせで朝食で出したガーリックトーストは嫌がるどころか問題なく食べ、日光は日傘をさし、鼻歌歌いながら散歩していたのであんまり弱点とは言えず、十字架を見せた時も5歳の頃に克服したと本人が言っていたのでアレクの弱点はわからないままだった。

お手上げだったレフはアレクに「お前の弱点って無いのかよ...」って弱音を吐くと「師匠に色々鍛えられたからね...」と今まで見せたことなかった困った様な

笑顔を見てレフはアレクの弱点は師匠なのではと思う。

そしてアレクは「弱点よりも良い所を探しなよ!俺は君は良い所たくさんあるってわかったんだけどなぁ」とレフの長所を沢山言いながら美人な顔をレフに近づけてきたので驚いたレフはアレクの鼻を反射的につまんでしまう。ビックリしたアレクは「うわぁ!ひどいじゃないか」と言いながら涙目でレフが鼻をつまんだ片手を両手で離そうとする。


この日からレフはアレクの事を【得体の知れない化け物】では無く【少し可笑しなルームメイト】として接する様になる。


3話



あの事件から7年後、レフとアレクは15歳になっていた。アレクのおかげで身体から無意識に出てくる茨も何とか自由に制御出来る様になり、学校にも通える様になった。アレクは学校について行きたかったが、レフはアレクがいると授業に集中出来ないと思ったので留守番してもらう事にした。無愛想なレフは友達がいないので休み時間は1人で本読んでいるかPC室でプログラムを組み立てて遊んでいるかのどちらかである。ある日、偶然図書室が委員会で使えなくなったり、PC室がメンテナンス中だったのですごくヒマになってしまった。何となくアレクのマネをして魔法の呪文を唱えてみようと思い、「バラウル、バラウル...」と誰もいない教室で呟いてみたら急に羞恥心に襲われてしまったが、なんと降水率0%だったのに雨を降らせてしまう事に成功してしまう。他にも鉛筆を浮かせたり、購買の新商品のメニューを当てたりなどレフは自分が魔法が使える事に気付いてしまった。しかし天気の魔法はアレクが同居してから4年間練習しているのに中々出来なかった事や魔法に失敗して師匠に怒られ、夜に泣きながらレフの寝てるベッドに勝手に潜り込んでくる事を知っていたので魔法が使える事はアレクに秘密にしようとレフは思った。


4話


アレクは1年に4回ある魔女の集会である大きなサバトの日は1人で向かう。レフが連れて行って欲しいとアレクに頼むがアレクは笑わず怖い顔をして「認められた魔法使いじゃ無いと参加できないし連れて行ったら生贄と間違えて食べられてしまうよ。絶対に来ないでね」とレフに警告するとすぐに笑顔で「いってきます!」って言って飛んでいってしまう。だけど歳を重ねるごとにその笑顔が無理をしている笑顔だと気付いてしまったレフは自分が魔法が使えるとわかったので姿を隠す魔法で内緒でアレクの参加するサバトに潜入する。そこで見たのはアレクが師匠に暴力を受けている姿だった。サバトは普通に行われているがアレクは師匠の荷物を運んでいるのだがワザと脚を引っ掛けて転ばせたり、アレクが用意したコーヒーが不味いと言ってコーヒーカップごとアレクに向かって投げつけて火傷させたり酷い有様だった。


アレクを助けようとするがアレクの言った警告を思い出し仕方がなく怒りと悔しさを押さえ付けて家に帰ることにした。


家に帰るとアレクのされていた事を思い出して涙が止まらなくなってしまった。洗面所で顔を洗いタオルを取りに行くと何故かタオルケースの後ろに見たことが無い日誌の様なものが隠されていた。


中を見ると文字は全部覚えた事が無いルーマニア語なのに不思議と読めてしまった。


5話


レフは日誌を自室に持ち込んで隠れて読んだ。日誌の内容は魔法の特訓内容とレフの報告書。そして亡くなった家族への手紙。わかったのはアレクが師匠に18歳になったレフを生贄に捧げる事。師匠にアレクの妹以外の家族を殺されてしまったこと。生贄を捧げないと妹を返してくれないと言っていたけど本当は返してくれそうにも無いこと。生贄になる予定のレフに感情なんて持ってはいけないのに一緒に暮らすうちに家族の様な気持ちになって生贄に捧げたく無くなってしまった事。



全てを知ったレフは3年後までにアレクと共に師匠を倒す決意をする。



レフは師匠が自分を生贄にしたいのはやはり薔薇の呪いが関係するのではないかと思い、盗賊に襲われた日以来入っていない物置きを調べることにした。すると中から「薔薇を狙ってきた悪魔払いの方法」という本と銀で出来た大きなナイフが出てきた。


その後、レフは帰ってきたアレクを説得するがアレクは「レフは絶対に助けたいけど師匠に逆らうのが怖い」と怯えて泣いていた。


レフは「俺はどちみちお前の師匠に殺されるんだ!だったら逃げるよりも最後まで抵抗して死んだ方がマシだ!!...でもお前に弱気になられると俺も辛いんだよ...唯一の家族のお前のことを信じているから俺のことも信じてくれよ」


と言ってアレクを抱きしめながら泣いてしまう。それを見てアレクは3年後に師匠を倒す事に決めた。


6話


そして3年後レフとアレクは国民の館に呼び出されて生贄の儀式を行う。レフとアレクは作戦通り師匠に強めのお酒を飲ませて油断させ、レフを食べようと近づいてきた師匠を茨で串刺しにして動けなくさせ、アレクは師匠を倉庫にあった銀のナイフで致命傷を負わせたのだった。だが師匠は悪あがきでアレクの心臓目掛けて飾ってあった美術品の槍を命中させる。「ザマァ見ろ」と師匠は言い残して弱々しく消えてしまう。レフは泣きじゃくってアレクを抱きしめるが10分後アレクはケロリとして何事もない様に起き上がる「俺、実は心臓が2つあるから片方の心臓が残っていればスペアなんていくらでも作れるよ〜」って笑顔で言ったのでレフは「心配させるなよ!!」とメチャクチャ怒った。10年前、レフが茨塗れになった時に心臓に穴が空いていたので応急処置としてアレクはレフに片方の心臓を貸していたのだ。だけども心臓の修復は物凄く面倒なのでレフの破れた心臓は保管してそのままにしておいたのだった。こうしてレフとアレクは協力して師匠を撃退して勝利した。その後、妹の居場所や薔薇の呪いの解き方がわかるまでレフとアレクは茨の家の同居生活を続けることを約束して物語はひとまず終わる。



※もし続編の制作が決定したらレフとアレクが妹を探しにツララの魔女の元へ向かう話や薔薇の呪いの怪しい液体を作った妖精の話を書きたいと考えています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る